彼女が僕の目の前でお揃いのミサンガを切って捨てた。

もう、『元』彼女か。

そう考え感傷に浸る。

そう。それでいいんだ。

お互い前を向いて進まなければいけない。

でも、もう少し一緒に居たかったなぁと思う。

彼女は切ったミサンガを入れたゴミ箱の中を見てそこから動かない。

何をしているんだろうと見ていると彼女はミサンガの切れ端をゴミ箱から回収し始めた。

「何やってんの?」

そこにある男がやってくる。

僕より背も長くてイケメンな優しそうな人。

「ううん。なんでもないの」

男は彼女の手に握られた切れ端を見て全てを察したようで彼女を抱きしめた。

「大丈夫。少しずつでいいから」

「うん。ごめんね」

ほんとに最低な僕のことなんて忘れればいいのに。

「なんで、死んじゃったんだよ。馬鹿野郎……」

ごめんね。でも、君にはもう隣に立って支えてくれる人がいるだろう。

なら、大丈夫。

僕の意識はスっと消えていった。