身体で風を切って歩き続けた。急きょ目的地としたラーメン屋の前に立った時、腹や背中に浮いた玉の汗が、つうっと流れ落ちるのを感じた。
店の灯りはついていたが、この日は戸がしっかりと閉められていた。柳生が早歩きの勢いのまま戸を開いてしまうと、キッチンに入っていた店主とアルバイト君、カウンター席に腰かけていた青年の水崎が、驚いたようにこちらを振り返った。
室内は冷房が効いており、客は水崎青年の他は見当たらなかった。
「こんばんは。なんだか、お久しぶりですね」
目が合うと、水崎が微笑んでそう言った。店主が強張った肩を解いて「いらっしゃい」と、気さくなに声をかけてくる。
「何事かと思いましたよ。お客さん、今日はどうします? 冷たいものもあるよ」
「冷やし中華なんですけどね。あ、僕は先に醤油ラーメンを頂きました」
「お前は『醤油ラーメン』の前に、『冷やし中華』も食っていたじゃねぇか」
間髪入れず店主が指摘すると、アルバイト君も身を乗り出してこう言った。
店の灯りはついていたが、この日は戸がしっかりと閉められていた。柳生が早歩きの勢いのまま戸を開いてしまうと、キッチンに入っていた店主とアルバイト君、カウンター席に腰かけていた青年の水崎が、驚いたようにこちらを振り返った。
室内は冷房が効いており、客は水崎青年の他は見当たらなかった。
「こんばんは。なんだか、お久しぶりですね」
目が合うと、水崎が微笑んでそう言った。店主が強張った肩を解いて「いらっしゃい」と、気さくなに声をかけてくる。
「何事かと思いましたよ。お客さん、今日はどうします? 冷たいものもあるよ」
「冷やし中華なんですけどね。あ、僕は先に醤油ラーメンを頂きました」
「お前は『醤油ラーメン』の前に、『冷やし中華』も食っていたじゃねぇか」
間髪入れず店主が指摘すると、アルバイト君も身を乗り出してこう言った。


