水崎はいくつか話題を移した後、自分の事を語り始めた。
彼は大学四年生で、将来は大学院へ進んで学者になるのが夢だという。専攻は細胞微生物学で、飯や時間も忘れるほどの読書家でもあった。
今時、古典や聖書、古い海外文学を読破する若者がよくいたものだ。話を聞いて思わずそう呟くと、水崎が「時間があるからこそ、若いうちにって言うでしょう」とにっこり笑んだ。
全くそうだ、と柳生は己の若き頃を思い返して苦笑した。進んだ大学の図書室の素晴らしさに感激して、今のうちだからこそと意気込んで時間も忘れて入り浸り、借りたり返したりと一日に数回繰り返すこともざらにあった。
どうやら水崎は、話す中でこちらを同じ読書好きとみたらしい。口にする本について語り合えることに新鮮な驚きを見せ、感激して話を続ける様子は、彼の周りに同じ読書経験を持つ者が非常に少ないことを、柳生に感じさせた。
「将来は、どんな学者になるつもりなのか聞いてもいいか?」
彼は大学四年生で、将来は大学院へ進んで学者になるのが夢だという。専攻は細胞微生物学で、飯や時間も忘れるほどの読書家でもあった。
今時、古典や聖書、古い海外文学を読破する若者がよくいたものだ。話を聞いて思わずそう呟くと、水崎が「時間があるからこそ、若いうちにって言うでしょう」とにっこり笑んだ。
全くそうだ、と柳生は己の若き頃を思い返して苦笑した。進んだ大学の図書室の素晴らしさに感激して、今のうちだからこそと意気込んで時間も忘れて入り浸り、借りたり返したりと一日に数回繰り返すこともざらにあった。
どうやら水崎は、話す中でこちらを同じ読書好きとみたらしい。口にする本について語り合えることに新鮮な驚きを見せ、感激して話を続ける様子は、彼の周りに同じ読書経験を持つ者が非常に少ないことを、柳生に感じさせた。
「将来は、どんな学者になるつもりなのか聞いてもいいか?」


