柳生は、食欲の満たされた充実感に浸りながら、しばらく店の出入り口をぼんやりと眺めた。客足がないことを思いつつ見ていたら、空の食器をカウンター越しに下げた店主が短く笑った。
「煙草、吸いなよ」
そう言った彼が灰皿を前に置いた。軽くて薄い、傷や汚れの目立つパイプ式の灰皿だった。
柳生は、困った息子を見るような顔をして笑っている店主を見つめ返し、自然とそれに応えて口角を僅かに引き上げ、「すまない」と答えて煙草を取り出した。
三口ほど煙草の煙を肺に取りこんだ時、隣にいる水崎がチャーハンを平らげて「ごちそうさま」と合掌した。喫煙によって気分が落ち着いた柳生は、そこでようやく彼に声を掛けた。
「今日は、この前のアルバイトの彼はいないんだな」
「平日真っただ中は、お客さんの出入りはほとんどないから、彼はお休みなんです」
そう答えた水崎は、どこか嬉しそうに笑った。
「趣味でバスケをやっていますから、彼は今頃、大学のバスケ部にいつものように飛び入り参戦でもして、楽しんでいる頃だと思いますよ」
「アグレッシブなんだな」
「煙草、吸いなよ」
そう言った彼が灰皿を前に置いた。軽くて薄い、傷や汚れの目立つパイプ式の灰皿だった。
柳生は、困った息子を見るような顔をして笑っている店主を見つめ返し、自然とそれに応えて口角を僅かに引き上げ、「すまない」と答えて煙草を取り出した。
三口ほど煙草の煙を肺に取りこんだ時、隣にいる水崎がチャーハンを平らげて「ごちそうさま」と合掌した。喫煙によって気分が落ち着いた柳生は、そこでようやく彼に声を掛けた。
「今日は、この前のアルバイトの彼はいないんだな」
「平日真っただ中は、お客さんの出入りはほとんどないから、彼はお休みなんです」
そう答えた水崎は、どこか嬉しそうに笑った。
「趣味でバスケをやっていますから、彼は今頃、大学のバスケ部にいつものように飛び入り参戦でもして、楽しんでいる頃だと思いますよ」
「アグレッシブなんだな」


