いつも女達は、どんな本がおすすめなの、と適当に問いかけてくるだけだったから、それは彼にとっては珍しいパターンでもあり――柳生は、そこでようやく本から顔を上げた。
目を向けてみると、美しいとも可愛いとも褒められない、ややそばかすの浮いた女学生の顔がそこにはあった。
質素な顔は、けれどどこか目を引く整った目鼻立ちをしてもいて、やや癖の入った髪は、木漏れ日を浴びて上質な栗色に輝いているようにも見えた。
視線がぶつかると、女が猫のような大きな目を困ったように細めて「ようやくこっちを見てくれたわね」と言って笑った。清楚な白いワンピースが何故だか眩しく感じられて、柳生は知らず目を細めた。きっと、怪訝な顔をしたように見えたに違いない。
女は、他の女学生のようにピアスもイヤリングもせず、珍しく化粧っけもなかった。胸も貧相で身体も細く、まるで色香というものは感じられなかったが、厚みのない唇と小さな鼻には、不思議と背伸びを始めた少女のような甘い気配もあった。
目を向けてみると、美しいとも可愛いとも褒められない、ややそばかすの浮いた女学生の顔がそこにはあった。
質素な顔は、けれどどこか目を引く整った目鼻立ちをしてもいて、やや癖の入った髪は、木漏れ日を浴びて上質な栗色に輝いているようにも見えた。
視線がぶつかると、女が猫のような大きな目を困ったように細めて「ようやくこっちを見てくれたわね」と言って笑った。清楚な白いワンピースが何故だか眩しく感じられて、柳生は知らず目を細めた。きっと、怪訝な顔をしたように見えたに違いない。
女は、他の女学生のようにピアスもイヤリングもせず、珍しく化粧っけもなかった。胸も貧相で身体も細く、まるで色香というものは感じられなかったが、厚みのない唇と小さな鼻には、不思議と背伸びを始めた少女のような甘い気配もあった。


