店内にはラジオが流れており、投稿者からの便りを読みながら番組が進行していた。低い天井に備え付けられたスピーカーから、男の割れた笑い声が楽しげに響いている。それに答える女の声も、音質が悪いラジオ独特のいい味を出していて、店内の雰囲気をよりいっそう古風に仕上げている気がした。
上等ではない畳み、使い古された店内。黄ばんだ壁板と天井、傷が多くついた低いテーブル。店内に流れているそういった空気は、現代の忙しさを柳生の中から拭い取ってくれて、おかげで楽な姿勢でゆったりと食事を待つことが出来た。
店主とアルバイト、そして、カウンター席に座る客の青年は、どうやらお互いに知っている仲のようだ。狭いキッチンで手を動かしながら、まずは店主が親しげにカウンター席へ「水崎(みずざき)、頑張ってるか?」と声を掛けた。
「まぁどうにか卒業は出来そうだけど、大学院の枠は狭いから、どうなるかは分からないなぁ」
上等ではない畳み、使い古された店内。黄ばんだ壁板と天井、傷が多くついた低いテーブル。店内に流れているそういった空気は、現代の忙しさを柳生の中から拭い取ってくれて、おかげで楽な姿勢でゆったりと食事を待つことが出来た。
店主とアルバイト、そして、カウンター席に座る客の青年は、どうやらお互いに知っている仲のようだ。狭いキッチンで手を動かしながら、まずは店主が親しげにカウンター席へ「水崎(みずざき)、頑張ってるか?」と声を掛けた。
「まぁどうにか卒業は出来そうだけど、大学院の枠は狭いから、どうなるかは分からないなぁ」


