考えることを少しやめて、ゆっくりと歩いた。見慣れた一つ一つの風景が、今日はなんだか味気なく佇んでいる。町の大気に覆われた薄っぺらい青空、照った日差しに晒される密集した建築物、どんなドラマよりも安っぽい大勢のキャスト――そんな風に見えた。
肌を焼くような夏の強い日差しと、肺に重く感じる熱気だけが忌々しい現実として襲いかかり、柳生を疲弊させて苛立ちを覚えさせた。歩くごとに全身から噴き出す汗が、衣服を肌に張り付けつせて心地悪い。
俺は一体何をしているのだろうと、自嘲気味に苦笑をこぼして帽子の鍔に触れた。俺よりも十以上若いらしいあの男も、手紙で待ち合わせの約束をした通りに、真っ赤な帽子を頭に乗せているのだろうか?
待ち合わせの時間よりも早く、柳生は東京タワーが見える広場のベンチに辿り着いた。平日の日中とあって、周囲にも人の姿はまばらだった。
見慣れてしまった東京タワーが、古い友人のように腰を降ろして聳え立つ様子を、腰かけたベンチから眺めた。同じくらい俺も歳を取ったのだなと、そう思う。
肌を焼くような夏の強い日差しと、肺に重く感じる熱気だけが忌々しい現実として襲いかかり、柳生を疲弊させて苛立ちを覚えさせた。歩くごとに全身から噴き出す汗が、衣服を肌に張り付けつせて心地悪い。
俺は一体何をしているのだろうと、自嘲気味に苦笑をこぼして帽子の鍔に触れた。俺よりも十以上若いらしいあの男も、手紙で待ち合わせの約束をした通りに、真っ赤な帽子を頭に乗せているのだろうか?
待ち合わせの時間よりも早く、柳生は東京タワーが見える広場のベンチに辿り着いた。平日の日中とあって、周囲にも人の姿はまばらだった。
見慣れてしまった東京タワーが、古い友人のように腰を降ろして聳え立つ様子を、腰かけたベンチから眺めた。同じくらい俺も歳を取ったのだなと、そう思う。


