俺の名前を呼んでくれたのは、君くらいなものだった

 嫁いだという設定で送った娘さん手紙の住所は、私の実家の住所の番地だけを除いたものです。終わらせなければならないと分かっていながら、その踏ん切りがつかなかった私に残された、唯一の方法だとも思えたのです。


 奥様と娘様のふりをして手紙を送り続けていた私が、このような手紙を送ることは許されないでしょう。罵られ、非難されることは重々承知しております。罵倒と拳の制裁も、あなたの気が済むまですべて受け入れる覚悟です。

 実はどうしても、あなた様にお渡ししたい物があるのです。

 本当は直に会って謝罪し、手渡したいと思っているのですが、それを望まないだろうとも考えて、こちらから郵送させて頂く用意も出来ています。

 誠に勝手ではございますが、ご返答お待ちしております。


                          藤森(ふじもり)カナメ