彼女は新しい環境と人間に対して、見知りをしていましたが、しばらくもしないうちに、人柄の良さが客に好かれていったのです。
年上の彼女のことが、好きであることに気付いたのは、出会った年の秋のことでした。書店に足を運んだ際に、ふっとそれに気付かされて、つい勢いで食事に誘ってしまったのですが、断られた時は、顔から火が出るほど恥ずかしかったです。
その時は仲の良い「書店員」と「常連客」でしたから、その関係を壊したくなかったというのも本音でした。告白しておきながら、僕が思わず「忘れて下さい」と言うと、彼女は余計に困ったように微笑みました。
「おばさんなんかを誘っても、あまり得はないし、利口とも言えないわ」
そう言って、彼女は心配げに私を窘めたのです。
「あなた、結婚の経験はおあり? 私は約十八年も寄り添った人がいました。あなたは、こんなにもお若いけれど、私はすっかりくたびれたおばさんでしょう? 中学二年生の娘もいますから」
年上の彼女のことが、好きであることに気付いたのは、出会った年の秋のことでした。書店に足を運んだ際に、ふっとそれに気付かされて、つい勢いで食事に誘ってしまったのですが、断られた時は、顔から火が出るほど恥ずかしかったです。
その時は仲の良い「書店員」と「常連客」でしたから、その関係を壊したくなかったというのも本音でした。告白しておきながら、僕が思わず「忘れて下さい」と言うと、彼女は余計に困ったように微笑みました。
「おばさんなんかを誘っても、あまり得はないし、利口とも言えないわ」
そう言って、彼女は心配げに私を窘めたのです。
「あなた、結婚の経験はおあり? 私は約十八年も寄り添った人がいました。あなたは、こんなにもお若いけれど、私はすっかりくたびれたおばさんでしょう? 中学二年生の娘もいますから」


