あの頃のデイビーは、その意味を幼いながらに悟って口をつぐみ、恐る恐る広場へと踏み出したのだった。そこに集まった見知らぬ子供達の中に飛び込んでみると、不思議とはじめに感じていた恐怖もなくなっていた。

――「構えるから怖くなるのだ。自分は自分、相手は相手だ」

 あの日、そばにいたオーティスは、相変わらずの顰め面でそう言った。

 デイビーはその日から、外へ行く事が怖くなくなった。特に話の出来る友人がいなくても、擦れ違うおじさんやおばさんに会って言葉を交わすだけで楽しい、という事に気付かされたのだった。

 そこまで考えて、デイビーは「おや?」と小首を傾げた。

 確かに、あれがオーティスとデイビーの出会いであった。でも当時の二人は、競い合うような仲でもなく、同じ年頃の少年達との間に、決定的ないざこざがあったわけでもない。

「僕は今、どうしてオーティスに嫌われているのだろうか? それに、どうして彼らは、僕を目の敵みたいに見るんだ?」