「俺、オーティスになら喜んでついて行くよ!」

 そんな言葉が絶えない中、オーティスはただ黙ってじっと村長の瞳を見つめていた。

 デイビーは、皆から少し離れたところに座って村長の話を聞いていた。褒められた嬉しさがあったのも束の間、オーティスをちらりと見やったあと、彼は表情を曇らせた。どんなに木登りが上手くとも、彼が持っている心の強さや行動力には、到底かなわないだろうと思ってしまったからだ。

 オーティスには、一声で場と人を動かす力がある。内気だったデイビーが、こうして広場で村長の話を聞く年頃になった時、それが嫌で家の後ろで座っていたら面識もなかった彼が、突然現れてこう言ったのだ。

「六歳から村長の話を聞きく決まりになっているのに、お前は何をやっているのだ! さぁ、立て!」

 同じ六歳とは思えないほど、たくましい男の子は、そうデイビーを一喝して強引に手を引いた。当時「嫌だ、行きたくない」と必死に抵抗したデイビーの手を、彼は強く引きながら「ご両親に迷惑をかけたいのか」とだけ告げた。