誰もいない場所だ。それを見届けたところで、ようやく誰かが「気を付けろよな」と言って場の緊張が解けた。着地した看板は、筒状の台に寄りかかるようにして立っていた。
それを見て、誰もが安堵の息を漏らして笑みを浮かべた。それでも、どこか嫌な予感は残されたままあった。嗤ったはずの大人の表情は硬くて、その目は真っ直ぐ看板を見つめ続けている。少年少女、子供達は大きな音に驚いて振り返った状態で、誰も口を開かないでいた。
「危ないなぁ。ほら、まずはそっちを支えろ」
「おう。じゃあまずは、ここに固定しよう」
支え台の上にいた男達が、寄りかかっている看板の上端の空いた穴を覗き込んだ。彼らが「切れていない丈夫な紐をくれ」と下にいた男達に告げると、数人の男達が「お、おう」と少し慌てたような声を上げて動き出す。
看板と支え台の間から、かすかに擦れるような音が上がった。
その異変に気付いた少年達が目を細め、次に少女達が顔を顰める。「まさかな」と余裕ぶっていた大人達の顔が強張ったのは、広場に重々しい音が響き上がり出した時だった。
それを見て、誰もが安堵の息を漏らして笑みを浮かべた。それでも、どこか嫌な予感は残されたままあった。嗤ったはずの大人の表情は硬くて、その目は真っ直ぐ看板を見つめ続けている。少年少女、子供達は大きな音に驚いて振り返った状態で、誰も口を開かないでいた。
「危ないなぁ。ほら、まずはそっちを支えろ」
「おう。じゃあまずは、ここに固定しよう」
支え台の上にいた男達が、寄りかかっている看板の上端の空いた穴を覗き込んだ。彼らが「切れていない丈夫な紐をくれ」と下にいた男達に告げると、数人の男達が「お、おう」と少し慌てたような声を上げて動き出す。
看板と支え台の間から、かすかに擦れるような音が上がった。
その異変に気付いた少年達が目を細め、次に少女達が顔を顰める。「まさかな」と余裕ぶっていた大人達の顔が強張ったのは、広場に重々しい音が響き上がり出した時だった。


