天空橋が降りる夜

「『十六歳ノ君タチヘ、セイジン、オメデトウ』、か」

 広間の外側に掲げられ、取りつけ作業が進められている看板を見上げて呟き、デイビーはくすぐったいような笑みを浮かべた。蛇が走ったような癖のある字は、最近力が弱くなった村長のものだった。その大きな看板を、たくましい身体をした男達が、声を上げながら取りつけている。

「右! もっと持ち上げろ!」
「固定する時はしっかりやれ!」
「ロープ、もう二本必要だ!」

 僕は今日から、少しずつ変わっていって、お父さんみたいな素敵な大人になるのだ。

 そう決意していたデイビーは、成人を祝う看板をもう少し近くで見たいと考えて、広場の横に組み立てられていた表彰台の後ろへと回ってみた。それは四組の柱によって支えられていて、台の上には更に三つの壇上があった。

 そんな立派な表彰台には、男達の大工道具や材料が置かれていた。デイビーは、去年見た表彰台を思い出して、それがまだ完成していない事に気付いてはいた。あの色鮮やかな布も、花飾りの一つだって見られなかったからである。