天空橋が降りる夜

 梯子が飛び出た下の雲が激しく光り出し、まるで雷が素早くぶつかり合うような音を上げた。すると雲の下から、更に呻く声が上がった。

 その時、デイビーは信じられない光景を見て、思わず目を見開いた。雲の下から、焼けた小麦色の大きな手が伸びたかと思うと、前触れもなく梯子の先を掴んだのだ。

 雲の中から現れたのは、擦り傷だらけの手だった。それは痛みに決して負けるものかと、梯子の一番上を強く掴んで一際力が込められる。デイビーと青年が見守る中、続いては雲から左手が飛び出してきて、がっしりと白銀の梯子を掴んだ。

 雲の下から出てきた傷だらけの両手に、デイビーはひどく驚いた顔をした。その両腕のずっと下から、「諦めるな!」と怒号する老人の声が小さく聞こえてくる。

 激しい雷のような音が小さくなり、デイビーと青年がそろそろとそちらに近寄った時、突然、梯子を登って来た人間が勢いよく顔を出した。それは髪も服も乱れ、傷だらけになったオーティスだった。