天空橋が降りる夜

 静まり返った雲の上には、白銀の椅子が五つ並んでいた。

 頭上には、深い青のような星空がある。宝石のように輝く大小様々な星が、無限に広がっていて、どこまでも続く雲の層の上にはデイビーと青年だけが立っていた。

 おや。僕はいつの間に、ここに立っているのだろう。

 デイビーは、ぼんやりとそんな事を思った。自分で登って来た事を思い出しながら星を眺め「星に一番近いところだ」と見惚れた声を上げれば、隣にいた青年が「一番星に近い場所だよ」と優しげな言葉を返してきた。

 月もない星空には、小さな輝きが集まった金緑や青、燃えるような橙色の光りが、深い闇に浮かび上がっていた。

「とても素敵なところだね」

 デイビーはそう言うと、ふと星空の向こうに白く光る何かがある事に気付いた。目をこらしてみると、白い翼がゆっくりと動いており、こちらから離れていくものがあった。

「気の早い天馬が四組、先に来たようだね」

 青年はそう言うと、デイビーを振り返って「しばらく待とうか。きっとご老人の待っている彼と一緒に、天馬たちも来るだろう」と告げた。