「あなたも、星を?」
「ああ、そうだ。美しく輝く星を、一つだけ」
それ以外は要らないのだ、と老人は続けて、まるで孫を見るような暖かい目でデイビーを見つめた。
「さぁ、お前さんは登り切るのだろう? 次は、星を取りに行きなさい」
デイビーは頷くと、青年を振り返った。彼は白銀の梯子に手を掛け、ごぉん、ごぉんと美しい響きを奏でている上の雲を、懐かしげに眺めていた。
ふっ、と青年が気付いてデイビーへ目を向ける。
「さぁ。行こうか、デイビー」
「うん、行こう」
青年の名前を出しかけたデイビーは、それが喉元で途端にあやふやになって口をつぐんだ。青年は気付いた様子もなく、梯子を登り始める。
デイビーは、最後にもう一度だけ老人を振り返った。
「さようなら、おじいさん」
「ああ、次は満天の星の下、天馬が降り立つ場所で会おう」
デイビーは「そうですね」と答えた。嬉しそうに微笑んだつもりなのに、何故かひどく悲しい気分になって開きかけた口を閉ざした。「おいでよ、デイビー」と言う青年の声が少し上から聞こえてきて、「今行くよ」と答える。
「ああ、そうだ。美しく輝く星を、一つだけ」
それ以外は要らないのだ、と老人は続けて、まるで孫を見るような暖かい目でデイビーを見つめた。
「さぁ、お前さんは登り切るのだろう? 次は、星を取りに行きなさい」
デイビーは頷くと、青年を振り返った。彼は白銀の梯子に手を掛け、ごぉん、ごぉんと美しい響きを奏でている上の雲を、懐かしげに眺めていた。
ふっ、と青年が気付いてデイビーへ目を向ける。
「さぁ。行こうか、デイビー」
「うん、行こう」
青年の名前を出しかけたデイビーは、それが喉元で途端にあやふやになって口をつぐんだ。青年は気付いた様子もなく、梯子を登り始める。
デイビーは、最後にもう一度だけ老人を振り返った。
「さようなら、おじいさん」
「ああ、次は満天の星の下、天馬が降り立つ場所で会おう」
デイビーは「そうですね」と答えた。嬉しそうに微笑んだつもりなのに、何故かひどく悲しい気分になって開きかけた口を閉ざした。「おいでよ、デイビー」と言う青年の声が少し上から聞こえてきて、「今行くよ」と答える。


