デイビーは、言葉を切った老人を見やった。彼は疲れたように背を丸めて座り直し、もう一度「ふぅ」と息をついている。
「おじいさんは、誰かをここで待っているのですか?」
なんだかそんな風にも感じてしまって、デイビーはそんな事を尋ねていた。
すると老人が、疲れた顔にようやく微笑みを浮かべて、デイビーと視線を合わせた。深く刻まれた皺が、優しげな曲線を描いていて、デイビーは何故か胸と目尻が熱くなった。
老人は、しばらく何も答えてこなかった。どのぐらい見つめ合っていただろうか。デイビーが身じろぎした時、ようやく老人が小さな口を持ち上げた。
「ああ、ずっと待っていたよ。そして、わしはやっと、待ち合わせの場所へと辿り着く事が出来た。あの時、わしが手を離してしまったために、すっかりわしを追い越してしまった彼を、ここで待っているのだ」
すると青年が頷いて、「もうすぐで天馬が降り立ちます」と言った。
「きっと、その彼は、その時もう一頭の天馬を引き連れて、あなたのもとを訪れるでしょう」
それを聞き届けた老人もまた、微笑んで頷く。
「『上』にある星を見るのは、二人で、とずっと決めていたんだ。だから、わしは、ここで彼を待とう。星を入れる、この袋を携えて」
老人が、そう言いながら腰横に触れるのを、デイビーは静かに見つめていた。彼の手の先には、小さな牛皮の袋が提げられている。
「おじいさんは、誰かをここで待っているのですか?」
なんだかそんな風にも感じてしまって、デイビーはそんな事を尋ねていた。
すると老人が、疲れた顔にようやく微笑みを浮かべて、デイビーと視線を合わせた。深く刻まれた皺が、優しげな曲線を描いていて、デイビーは何故か胸と目尻が熱くなった。
老人は、しばらく何も答えてこなかった。どのぐらい見つめ合っていただろうか。デイビーが身じろぎした時、ようやく老人が小さな口を持ち上げた。
「ああ、ずっと待っていたよ。そして、わしはやっと、待ち合わせの場所へと辿り着く事が出来た。あの時、わしが手を離してしまったために、すっかりわしを追い越してしまった彼を、ここで待っているのだ」
すると青年が頷いて、「もうすぐで天馬が降り立ちます」と言った。
「きっと、その彼は、その時もう一頭の天馬を引き連れて、あなたのもとを訪れるでしょう」
それを聞き届けた老人もまた、微笑んで頷く。
「『上』にある星を見るのは、二人で、とずっと決めていたんだ。だから、わしは、ここで彼を待とう。星を入れる、この袋を携えて」
老人が、そう言いながら腰横に触れるのを、デイビーは静かに見つめていた。彼の手の先には、小さな牛皮の袋が提げられている。


