天空橋が降りる夜

 デイビーは、雲の層の中を突き進みながら「先に食べちゃうよ」と言う青年の声を聞いて、「待っておくれよ」と答えて笑った。更にするすると登っていくと、一気に彼の視界は開けた。

 広くどこまでも続く雲の地面に、沢山の背丈の低い木が立っていた。

 淡い緑に光り輝く葉の一枚一枚が大きくて、その隙間にたくさんの青い実がなっているのが見えた。滴のように下が膨れたような果実は、薄茶色の枝先を金緑に輝かせ、下にいくにしたがって段々と青く灯っている。

 まだ上の雲の層へと続いている梯子のそばで、青年がデイビーを待っていた。デイビーはにっこりと笑う青年に笑顔を返して、ふと、高い雲の天井を見上げた。

 白銀の光りがぼぉん、ぼぉんと美しい響を奏でながら、雲の層の中で光っているのが見える。まるで儀式の際に聞いたような音だったけれど、どんな式で聞いたのだったか忘れた。

「さぁ、デイビー。まずは腹ごしらえをしよう」

 上空の美しさに見惚れていたデイビーは、視線を上に向けたまま「うん」と言葉を返した。「とても美しいところだね」と思わず述べると、青年が「この上に行くと雲が開けて、そこはもっと美しいよ」と言った。