天空橋が降りる夜

 デイビーは懐かしさに浸ったが、不意にひどく喉が渇いていたのを思い出した。それを一気に喉に流し込んでみれば、喉元から水の冷たさが一気に全身へと広まっていって、先程の疲労さえも忘れてしまいそうなほど身体が軽くなった。

 空のコップを手に持って立ち上がったデイビーは、このまま身体が飛んでいくのではないかと思って、自分の身体を見下ろした。青年が彼からコップを受け取りながら、声を掛ける。

「水袋に入れようか?」

 足先を見つめながらデイビーは頷いた。顔を上げて見つめ返した時、コップがあったはずの青年の手には、いつの間にかデイビーのポケットにあったはずの水袋が握られていた。

「そぉっと、そぉっとね」
「うん。そぉっと、そぉっとだ」

 デイビーの掛け声に、青年が同じように楽しげに答えながら、水袋の口をそっと水面に沈めた。二人の無邪気な笑顔が、揺れた水面に反射して映っている。デイビーはまだ子供で、青年はもうすっかり大人なのだが、それでも二人の浮かべる表情はどこかよく似ていた。