天空橋が降りる夜

 しばらくして、不意に水音が聞こえて彼は飛び起きた。雲の地面を振り返ってみると、途中でその白がぷっつりと途切れている事に気付いた。

 そこからは巨大な湖が広がっていて、白い地平線の手前まで水の青が続いていた。近づいて、しゃがみ込むようにして覗き込んでみると、どこまでも青く光る美しい湖の底には、凹んだ雲のもこもこ加減まで全部透き通って見えた。

「ああ、そうかココは、星を清める場所だったね」

 見つめていたデイビーは、不思議がる事もなくそう呟いていた。すると、すぐそばで屈んできた青年が、コップを持ったままにっこりと笑って頷いた。

「そう、空の欠片が付いたままの星を、天上の乙女がここで洗う。だから、湖も青く清められるんだよ」
「星の滴が溶け出しているのだから、青く光るのも当然だよね。星は透明な銀色で、そこに空の青が溶けて広がっているのだから」

 当然のようにデイビーは言って、青年から透き通る青い水が入ったコップを受け取った。ゆっくりとコップを口元で傾け、ずいぶん飲んでいなかったその味を確かめる。それは、どこまでも冷たく美味しい水だった。