「僕が言わなくとも、ちゃちゃっとやっちゃうんだね」
青年が可笑しそうに笑った。デイビーは「当然だよ。すっかり身に染みてしまったんだから」と答えながら白い空を見上げ、ふと「そうだっただろうか」と、自分でもよく分からない事が脳裏を過ぎって小首を傾げた。
「どうしたの、変な顔をして?」
「さぁ。どうしてそんな顔をしてしまったのか、と、僕自身も思ったところだよ」
その時、不意に青年が「あっ」と声を上げた。
二人の頭上部分の雲の中から、淡い光がこぼれ始めていた。それは緑とも青ともとれない輝きを放ちながら、雲の中で様々と色を変えるようにして動いている。
「そろそろやって来るよ、――君は登れるかい? それとも『カゴ』は必要かな?」
「登れるよ。ああ、もうそろそろだね」
デイビーは、頷きしっかり答え返した。淡い光の渦が雲の中で起こり、短い直線を描くように漏れた眩しい光から、白銀に輝くモノが音もなく降りて来る。
その眩しさと共に「さぁ、登っておいで」と優しい声をかけられたような錯覚を覚えた。デイビーは不思議な気持ちで「今から行くよ」と静かに答えていた。
青年が可笑しそうに笑った。デイビーは「当然だよ。すっかり身に染みてしまったんだから」と答えながら白い空を見上げ、ふと「そうだっただろうか」と、自分でもよく分からない事が脳裏を過ぎって小首を傾げた。
「どうしたの、変な顔をして?」
「さぁ。どうしてそんな顔をしてしまったのか、と、僕自身も思ったところだよ」
その時、不意に青年が「あっ」と声を上げた。
二人の頭上部分の雲の中から、淡い光がこぼれ始めていた。それは緑とも青ともとれない輝きを放ちながら、雲の中で様々と色を変えるようにして動いている。
「そろそろやって来るよ、――君は登れるかい? それとも『カゴ』は必要かな?」
「登れるよ。ああ、もうそろそろだね」
デイビーは、頷きしっかり答え返した。淡い光の渦が雲の中で起こり、短い直線を描くように漏れた眩しい光から、白銀に輝くモノが音もなく降りて来る。
その眩しさと共に「さぁ、登っておいで」と優しい声をかけられたような錯覚を覚えた。デイビーは不思議な気持ちで「今から行くよ」と静かに答えていた。


