「オーティスは、もう登ってしまったのかな」
「彼は、まだ登ってはいないよ」
青年は笑顔で、ハッキリと答えて否定した。彼はオーティスを知っている人なのだろうかとか、そういった疑問もすぐに霞んでしまって、デイビーは胸を撫で下ろして夜空を見上げた。
デイビーは、しばらく青年と一緒に、緑とも青ともつかない光を放つ雲を待っていた。しかし、不意に彼は小首を傾げると、両ズボンのポケットに触れた。
「どうしたの? ポケットに何か、用事でも?」
「水と青い実と星を入れるための袋を、持ってくるのを忘れてしまったようだ」
オーティスが言っていたのを思い出したのだ。同じミスをしてしまったと気付いて、デイビーの気持ちは沈んだ。
「あれを持って帰らないと、僕が天空橋に登ったと信じてもらえないよ」
「君、何を言っているんだい? 来る前に僕に預かけた事を、もう忘れてしまったの?」
そんな事を言われて、デイビーは青年を見上げた。
にっこりと笑う青年の綺麗な白い手には、牛の皮で作られた、丈夫な水袋と大きめの袋があった。どちらも縫い目がしっかりとしていて、それぞれ頑丈な黒い革で袋の口が作られている。
「彼は、まだ登ってはいないよ」
青年は笑顔で、ハッキリと答えて否定した。彼はオーティスを知っている人なのだろうかとか、そういった疑問もすぐに霞んでしまって、デイビーは胸を撫で下ろして夜空を見上げた。
デイビーは、しばらく青年と一緒に、緑とも青ともつかない光を放つ雲を待っていた。しかし、不意に彼は小首を傾げると、両ズボンのポケットに触れた。
「どうしたの? ポケットに何か、用事でも?」
「水と青い実と星を入れるための袋を、持ってくるのを忘れてしまったようだ」
オーティスが言っていたのを思い出したのだ。同じミスをしてしまったと気付いて、デイビーの気持ちは沈んだ。
「あれを持って帰らないと、僕が天空橋に登ったと信じてもらえないよ」
「君、何を言っているんだい? 来る前に僕に預かけた事を、もう忘れてしまったの?」
そんな事を言われて、デイビーは青年を見上げた。
にっこりと笑う青年の綺麗な白い手には、牛の皮で作られた、丈夫な水袋と大きめの袋があった。どちらも縫い目がしっかりとしていて、それぞれ頑丈な黒い革で袋の口が作られている。


