天空橋が降りる夜

         ◇◇◇

 ――不意に、ごーん、と頭を強く打たれるような轟音がした。

 ハッ、としてデイビーは飛び起きた。まるで「起きろ!」と一喝されたような目覚めに、彼は弾かれるように上体を起こして思わず「はい!」と答えた自分の声で、我に返った。

 そこには、秋の肌寒い風が吹いていた。

 そよそよと流れを作る草原の真ん中で、デイビーは辺りを見回した。

 辺りには民家の一つも見えず、立ち上がってぐるりと見回しても、草原が続いているばかりだった。見慣れた岩山もなければ、緩やかな草原の盛り上がりすら確認出来ない。

 そこは夜だった。頭上で輝く、これまでに見た事もない膨大な星の輝きに、デイビーはだいぶ夜空に近い場所に立っているのではないか、と錯覚しかけた。少し欠けた月の光りも眩しくて、草原が淡い緑の色を放って、ぼんやりと揺れているように感じた。

 ここは、どこだ? 僕は、さっきまで、ウチに帰ってきた父さんが、家に向かう後ろ姿を見ていたのでは――

「天空橋がやって来るよ」