天空橋が降りる夜

「嘘だ、そんなはずはない。僕には登りだけしかないのに、天は僕よりも、オーティスを認めているだなんて!」

 足がもつれそうになりながらも、デイビーは駆け続けながら空を見上げた。どこまでも澄んだ青い空には、時々太陽を遮るような薄い雲があった。

 きっと、オーティスは、すぐにでも天空橋に登っていってしまうだろう。

 素直なデイビーは、それを思って悲しくなった。不思議な水と見た事もない青い実、そして、夜空で輝き続ける美しい星を持って帰ってきたオーティスは、きっと村人の称賛と喝采の中迎えられるだろう。村一番の牛飼いの一人息子で、少年達のすべての憧れや魅力を持った彼こそが、やはり一番の名人であると祝福されるに違いない。

 それに対して、デイビーには何もない。彼はたくましくもなく、登りは得意なのに力仕事は全く出来なかった。牛の世話ではよく引っくり返ってしまうし、ここぞという時に突き進む勇気もない。

 口下手で小さなデイビーは、唯一の誇りを奪われたようにして心の中で泣き叫んだ。