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 成人の儀を翌日に控えると、小さな村は活気に満ちた。

 この時ばかりと着飾り、家を出て少女達が華やかな声で会話をするのを、年頃の少年達が熱い視線で見つめている。成人の儀を終えると結婚も出来るので、そわそわし出す少年達もいるのだ。

 逆に、少年達を見て話をする少女達もいた。特に、今年の成人の儀で一番男前のオーティスには、ずっと少女達の熱い視線が向けられ続けていた。彼の場合、少年達からは憧れるような眼差し、大人達からは期待の目も多く向けられていた。

 今年はそこに、デイビーも入っていた。内気だが勇気がある彼と結婚すると、彼の両親のような穏やかな幸せを掴む事が出来る、と少女達は期待していたのだ。

「おいおい、聞いたかよデイビー。お前さん、すっかり人気者だな?」

 成人の儀の服を母に作ってもらっていたデイビーは、足りない材料を受け取りに行った時、オーティスの隣にいた少年にそう声を掛けられた。