何故か闘争心に火が付いたようで、そう宣言してソファを飛び降りた。ユーリスを除く生徒会一同が、珍しいものを見るように彼の動向を見守る。

 そうしたらエミルは、先程の人形と同じ大きさの人形が詰まった、大きな箱を持って戻ってきた。

「これならどうだ!」
「あ、『猫』だ」
「せいか~い! じゃあ、この子は?」
「『犬』だろ」
「大正解! じゃあ、この丸くて茶色混じりの可愛い子は?」
「変な形の……『豚』か?」
「ひどいッ、色も全然豚じゃないのに……じゃあ、この尻尾の大きな子は?」
「『変な形をしたヌイグルミ二号』だ」
「全然違うよぉ!」

 エミルが半泣きで崩れ落ちた。彼は人形たちを抱き締めながら、「こんなにそっくりで可愛いのに」と独り言をぶつぶつと呟く。

 ふと、サードはこちらを見ている四人の視線に気付いた。まじまじと観察されているような居心地の悪さがあって身をよじると、人形を箱に戻したエミルが「ねぇねぇ、サリファン君」と続けて訊いてきた。

「明日もまた来る?」
「来るわけねぇだろ。俺は来たくて来た訳じゃねぇし、風紀と生徒会の距離感を間違えるな」