サードは『宣誓契約』に名を連ねていないが、半悪魔体であるので悪魔への攻撃が有効だとされていた。身体の半分を占めている悪魔細胞を百パーセント完全開放した場合、七日七晩の肉体活性化と引き換えに、身体は細胞の活動寿命値を超えるまで止まらず稼働し――死に絶える。

 けれど苦しいのも痛いのも、その日を迎えれば終わる。

 サードとしては、人間の顔の識別が出来ない悪魔と闘う際、こちらを戦い相手として認識させるためにロイが持つ『皇帝の首飾り』が必要であることが気掛かりだった。どのタイミングでもらえるのか、まだ指示をもらってはいない。

 そんなことをつらつらと思案していたところで、ふっと込み上げて欠伸をこぼしてしまった。ふと、小さな音が上がったので横になったまま目を向けてみると、そばの茂みから、色違いの小さな生き物がひょっこりと顔を覗かせてきたのが見えた。

 それは、先日に出会った灰色の仔猫だった。見覚えのない薄い金色の長い毛並みをした仔猫もいて、サードはガバリと上体を起こしてまじまじと見入った。