諜報部からも、現在のところ行動を起こすような指示は受けていない。『サード・サリファン』という生徒設定については、サード自身の意見が一つだって反映されることはないし、こちらとしては風紀委員長に好きで居座っている身でもないので完全放置だ。

「まぁ、アレだ、俺は気にならないな。そもそも風紀委員長を指名するのは理事長で、そこに俺の意見は反映されないし?」
「確かにそうですけど……。秋の報告会で、本格的にリコールされるかもって噂もあるんですよ?」

 この学園で、唯一気軽に話せる相手から不安そうな気配を感じて、サードは手元の書面から顔を上げた。

 すると他の部員たちも、どこか心配そうにこちらを見ている事に気付いた。相応しい素質や能力があるわけでもなく、動きやすい立場として風紀委員長の役職を与えられているだけであるので、その反応にサードは困ってしまった。

 春と秋に、学園では大きな報告会がある。それは毎週行われる全校集会での定例報告会とは違い、理事長と全教師が見守る中、生徒会と風紀委員会、生徒側の三方で意見交換を行う大会議となっていた。