「なぁ、トム・サリファン。なんで俺――」

 そう問い掛けようとしたところで、サードは再び目を向けてギョッとした。トム・サリファンが、仏頂面のまま瞳に涙をためて肩を震わせている。

「あ、あの、トム・サリファン? どうし――」
「お、お前の事なんてちっとも心配してなかったッ。お前が後悔しないまま逝けるようだとスミラギに報告をもらって、何も、何一つ――ぐすッ――いっちょ前に『楽しかった』『さよなら』なんて言葉まで使いおって、このクソガキめ……うわぁぁあああん!」

 途端にトム・サリファンが大泣きし、弾かれたように突進してきた。

 サードが逃げる間もなく、彼の巨体がガバリとこちらの身体を抱き締める。

「もうお前に会えんのかと思っとった! バカみたいに笑って、何気ないことに喜んで――それなのに死ななければならないなんて、さぞ辛かっただろうに!」
「いってぇぇぇええええええ!? ちょ、やめろマジでぶっ飛ばすぞッ、こちとら全身が痛ぇんだよ! つか、別に辛いとか思ってねぇわ!」