斬首しなくとも、このまま眠れば死んでしまえるだろうと本能的に察していた。それなのにもかかわらず、しつこく肩を揺すってくるスミラギが鬱陶しい。

「サード、まだ意識を手放していいとは許可していませんよ。ほら、起きなさい。言えないのであれば、あなたが起きやすくなるよう縛り上げて屋上から逆さ吊りにしますよ」

 耳元で大声を上げるスミラギのしつこさに、サードは「えぇぇ……」と思う。この状況で自分を屋上から逆さ吊りにするというのは、あまりに鬼畜ではないだろうか?

 けれどスミラギだったら、絶対にやってのけるに違いない。半年の地上研修で、身に叩きこまされた超スパルタな授業が思い起こされて、この身体でそれをされたらたまらないと思ったサードは、必死にどうにか声を絞り出した。

「りょ……『了承、した』…………」

 そう口にした直後、心臓が一際大きく波打った気がした。

 スミラギが眉一つ動かさず「よく出来ました」と告げた無表情な顔を最後に、サードの意識は、プツリと途切れた。