半分悪魔細胞を持つ身として、サードは自分の中の本能(あくま)的な感覚器官が、この魔獣の身体がこちらと同じように治癒再生能力を持ち、強靭な身体能力を持って生きているのだと伝えてくるのを感じた。

 この『死食い犬』は、先程までの腐敗していた『脆い魔獣』とは質が違う。全員が同じように推測する中、ロイが悪魔を睨み据えたまま、普段は見せないような緊張感を滲ませた強気な笑みを口許に浮かべて、ユーリスに囁いた。

「あれは、相当やばそうだな」
「魔術師として述べると、悪魔だけじゃなくて、あの魔獣もかなりの魔力を持っているよ。どういう風に働く能力なのか、気になるところだね」

 ユーリスが悪魔の動向を慎重に窺ったまま、囁くようにそう返した。それを聞いたサードは、押し殺した低い声で口を挟んだ。

「あの『死食い犬』は、たぶん俺と同じ、肉体活性化と超治癒再生の能力を持っているんだと思う」

 ロイがちらりと見やって、訝しむように目を細めた。