戦いは最後まで決着がつかず、悪魔は『宣誓契約』の勝敗が付かなかったことで強制封印が掛かり、月食の闇に封印された。

 それからというもの、未だ有効である『宣誓契約』再戦の封印が解ける百年ごとに、悪魔はゲームに勝つため学園に降り立つことになった。

 その学園で、百年ごとに繰り広げられるようになった悪魔との戦いが、現在の聖アリスト教会学園の『月食の悪魔』の全てである。

 血によって交わされる『宣誓契約』は、同じ血を引く人間に代々継がれるため、学園にいる次期『皇帝』が百年に一度悪魔と戦った。悪魔は人間の寿命感覚の常識がないため人間の顔の識別がきかないらしく、次代『皇帝』が当主から譲り受けるペンダントを目印に、子孫たちに勝負を挑んだ――という。

 そのたび、多くの優秀な若者が、戦いによる被害を受けて命を落とした。そして『宣誓契約』で手を貸すことを許された末裔の生徒たちも、次代の『皇帝』を守るために命を落としていった。