漲(みなぎ)る高揚感に、体中が歓喜するのを感じる。

 これまで解放を制限されていた悪魔細胞が、限りなく破壊尽くせることを認められた環境に喜んでいるようにも思えた。決して人に向けられなかった殺戮衝動が、早く、早くと敵の登場を期待していた。

 遥か遠くの頭上で、太陽と月が僅かに重なって、ようやく封印が開き出したらしい。研ぎ澄まされた聴覚が、その隙間を多くの飢えた獣が待ちきれないとばかりに引っ掻き、咆哮する音を拾った。

「さぁ来い。ここの窓を全部ぶっ壊す勢いで、お前たちを歓迎してやるぜ」

 そのまま肉体活性化の完全開放を口にしようとしたサードは、ふと、視界の端に動く小さな物体に気付いて、ハタと我に返った。
 
 まさか。…………いやいやいや、まさかだろ?

 ゆっくりと顔を動かしてみた。

 すると目を向けた先の廊下に、既視感を覚える奇妙な生物の姿があった。つい先程別れたはずの、耳と足だけが長い可愛らしい例の小動物が、ぷりぷり怒った様子で、開かれたままの生徒会室から出てきたのである。

「ッておいぃぃぃぃいいいいい?! なんでお前がいるんだよ!?」