スミラギが語るそばから、諜報部員の一人が「それでは、話した通りお願いしますよ。スミラギ研究員」と告げて、サードに目配せすることもなく足早に部屋を出て行った。

 サードは怪訝な表情を浮かべ、男たちが閉めた扉を数秒ほど見つめてしまっていた。

「あいつら、何しに来たんだ?」
「真っ先に、学園敷地外に逃げるメンバーですよ。既に使者が連絡を持ってきた後だと言うのに、わざわざ小者らしい口台詞で、釘を刺しに来た家畜野郎です」
「は……? え、『家畜野郎』って、めちゃくちゃ口悪――」
「ああ、言い方が悪くなってしまいましたね。彼らは、そうですね、『ご丁寧にも計画の流れを再度告げにきてくれた』のですよ。さて、彼らのことはどうでもいいのです。こちらも当初の予定通りに話し合いをしましょう」

 座るように促され、サードは彼の向かいの診察椅子に腰かけた。同じく座り直したスミラギは、冷えた珈琲カップを手に取ると、少し思案するように視線を漂わせた。