人間のような暮らしを送ったことがないので、よく分からないけれど。

 多分、そうなのかも……?
 
 自信たっぷりのロイを言い方を見て、サードは途端に自信がなくなった。彼がそこまで言うのなら、そうなんだろうなぁと思わされて、慎重に言葉を選らんでこう答えた。

「――聞いてはいるけど、大まかに知らされただけだ。一族の血が流れていないから、必要のないものだと聞いた」

 聖騎士は、悪魔と対抗出来る技術と力を、血によって受け継ぐ。百年目には必ず、聖騎士の本筋家に『皇帝』と同じ年頃の男子も誕生するというのも不思議ではあるのだが、彼らは歴代の聖騎士と同じ特徴を引き継ぎ、一目で自分の主である『皇帝』を見付け出すことが出来る――とは聞いていた。

 地下の実験施設で、何度も聞かされた話を思い返す。サードが探るように見つめていると、ロイが愉しげに目を細めた。

「今年が、その年であることは知っているか?」
「知らねぇよ」
「ふうん? てっきり知らされているのかと思ったがな。特待生として学園への入学が認められ、その頭脳と戦闘能力の高さから、風紀委員長として抜擢されるぐらいの人材であれば『皇帝』の騎士に相応しいだろう?」