「ふぁ~」
昨晩、あんな事があったけど私はぐっすりすっきり寝られた。王城のベットは格別なのか、私の性格が図太いのか。はは。
今は明け方近いので部屋はまだ薄暗い。私はのそのそとベットに座り直した。
女神様、ドーンにあんな事しなくても… 一番大事なものが私だったなんて。
…
ふふふふふふ、普通に… 普通にうれしいなぁ。
ん?
!!!
うれしいのか私!!!
そっか… うれしいんだ~。
あの時、死を覚悟した瞬間、頭に浮かんだのはドーンだった…
てっきり、最後に目に映った人物だからドーンが出てきたと思っていたんだけど。
そっか! そうなんだ!!!
いや、でもそっか… なんだったよぉぉぉ。
そうだよ… 今更恋心を自覚しても、ね。
バカバカ、鈍い私。
もうその想いが… ドーンの中には無いんだよ。
「無くなっちゃったよ」
涙がポロポロ流れる。朝から心が響く。痛い。
「うっ、うっ、うっ」
少しだけ私は泣いた。外に聞こえないように布団に顔を埋めて声を押し殺す。
「はぁ~、久しぶりに泣いたな。ふ~、さて、どうするか。これからだよね。命が助かったんだしね。文句を言っちゃいけないね」
っと、クルスと話さないといけない事を思い出した。いっけない。私は寝巻きにガウンを軽く羽織ってドアへ向かう。
「クルス? 居る?」
「… もう起きたのか?」
「うん。ちょっとだけ話せる?」
「あぁ」
ドアを開けクルスを招き入れた。
「今は誰も居ないし。中に入ってドア締めて」
クルスは廊下を目視確認してから部屋に入る。が、ドアの側から動こうとしない。多分、クルスなりに気をつかてくれてるのかな? 未婚の女子の部屋だからね。
「ごめん、廊下だと聞かれたらまずいし。だから小さい声で話すね。あの男爵令嬢の話… 私、総団長にウソを報告をしたよね? それでその通りになったよね?」
「あぁ。なぜだ? もしかしてだが、お前も敵とグルなのか? もしくは潜入捜査とか?」
「はぁ? グルな訳ないじゃん。でもあの時黙っててくれて助かった」
「いや… 俺はてっきりスパイなのかと… だから敵の人数を知っていたのかもと思った」
「スパイね。そうくるか… てかどっち側の? も~、私はスパイではないわ。ただ、夢に見たのよ。信じられないでしょうけど」
どこぞの王女様みたいだな。無理ある? でもこれぐらいしか誤魔化し方が思いつかない。
「夢だと?」
「うん。あのパーティーでの令嬢達とのやりとりを、つい先日夢で見てたの。その夢は『夜の庭園でドレス姿で男女二名の賊と対決する』と言う物。最初はピンと来なかったんだけどさぁ、『ドレス』と『不審者に呼び出される』で咄嗟に結びつけちゃった。ごめん。結果はいい方向へ向いたけど、違う結末を考慮しなかったわ。最悪な場合も想定するべきだった。二人とかじゃなく、複数班の可能性もあった訳だし… 団長として騎士として反省しないと」
「…」
「て、申し訳ないんだけど~この事は秘密にしてくれる?」
「あぁ。本当に結果が良かったからいいが… 今度から夢と現実を混同するなよ。それにそんな時は事前に誰かに相談するんだ。ドー… いや、ごめん」
「いいよ。そうだね。今度からはドーンのような、信頼出来る側近に話すよ。今後は無理だろうけどさ、ははっははは」
クルスは気不味くなったのか私の頭を撫でて誤魔化している。慰めてくれてるのかな? その手はとても優しいので逆に寂しくなって来た。
ドーン。
「その~ドーン様の事は残念だ。敵の攻撃だとしても… いつか記憶が戻るといいな」
「うん」
「団は違うが、俺もトリスも、それこそアレク様がいる。頼って欲しい」
「うん、うん」
ダメだ。今日はダメな気がする。また、涙が溢れてきた。
クルスはじっとその場で私が泣くのを見守ってくれた。側に誰かがいるのがこれほどありがたいと思った事はない。
私はしばらくクルスに甘えその場でまた泣いた。
「ぐすん。は~、ごめん。泣いちゃダメなのに… でもスッキリした」
「あぁ。あまり溜め込むなよ。今、まだ時間がある、もう少し寝ろ」
「うん。ごめん、ありがとう」
クルスはそう言うとドアの外へ出て、私は言われた通りにベットへ戻って二度寝した。
「ラモン様! 朝でございます!」
王城の侍女さんが朝の身支度を手伝ってくれる為に入って来た。
「あ~、うん。おはようございます」
「今日はいい天気です。顔を~ って、キャ~!」
叫び声を聞いたクルスが慌てて部屋へ入って来た。侍女さんは騎士の登場に慌てて訂正する。
「も、申し訳ございません! 何でもございません! 私が… 騎士様。大丈夫です。ですので、どうか外に。まだお嬢様は寝間着でございます」
「なっ。あっ、すまん」
なぜかクルスは赤い顔で退出する。ははは。どうしたのかな? 侍女ちゃん?
「どうかしたの?」
「あ~、その~。ラモン様のお顔が… 顔が腫れておいでで… すみません。昨夜はパーティーでしたものね。お酒もすすんだのでしょう」
やばっ。泣いたから。ごめんクルス。
「驚かせてごめんね侍女さん。昨夜は疲れてそのまま寝てしまって、へへ」
「いえ、私が悪いのです。こんな事で騒いでしまって申し訳ございません。では、そのお顔を落ち着かせましょう。今蒸しタオルをご用意致します」
「ありがとう」
「では、お着替えはお手伝いが必要でしょうか?」
「あぁ… 着替えが無いんだった。第三騎士団に使いをやって、私の騎士服を取ってくるように伝言をお願い出来る?」
「かしこまりました。朝食は部屋でお願いします。その際にお持ちします」
「何から何までありがとう」
「いえ。礼など不要です。では」
侍女さんは一礼して退室した。
は~、私の顔今どんな事になってる? プロの侍女さんが驚くぐらいだし相当パンパンそうだな。ふふふ。
私はやる事がないので、ベットに仰向けに寝転がった。
今日の会議? 審議? どうしようかな~。どんな感じなんだろう。
って、私の秘密とドーンの記憶、そして王女と女神様。
ドーンとアレクは秘密の事は知ってるけど。あ~今はアレクだけか。
私の秘密を総団長にも打ち明けようか。
どうしようか。でも悩んでもしょうがないか。事件とドーンの記憶が結びつかないもんね。
うん。
あとは信じよう。数ヶ月の付き合いだけど、総団長はきっといい人間のはずだ。
昨晩、あんな事があったけど私はぐっすりすっきり寝られた。王城のベットは格別なのか、私の性格が図太いのか。はは。
今は明け方近いので部屋はまだ薄暗い。私はのそのそとベットに座り直した。
女神様、ドーンにあんな事しなくても… 一番大事なものが私だったなんて。
…
ふふふふふふ、普通に… 普通にうれしいなぁ。
ん?
!!!
うれしいのか私!!!
そっか… うれしいんだ~。
あの時、死を覚悟した瞬間、頭に浮かんだのはドーンだった…
てっきり、最後に目に映った人物だからドーンが出てきたと思っていたんだけど。
そっか! そうなんだ!!!
いや、でもそっか… なんだったよぉぉぉ。
そうだよ… 今更恋心を自覚しても、ね。
バカバカ、鈍い私。
もうその想いが… ドーンの中には無いんだよ。
「無くなっちゃったよ」
涙がポロポロ流れる。朝から心が響く。痛い。
「うっ、うっ、うっ」
少しだけ私は泣いた。外に聞こえないように布団に顔を埋めて声を押し殺す。
「はぁ~、久しぶりに泣いたな。ふ~、さて、どうするか。これからだよね。命が助かったんだしね。文句を言っちゃいけないね」
っと、クルスと話さないといけない事を思い出した。いっけない。私は寝巻きにガウンを軽く羽織ってドアへ向かう。
「クルス? 居る?」
「… もう起きたのか?」
「うん。ちょっとだけ話せる?」
「あぁ」
ドアを開けクルスを招き入れた。
「今は誰も居ないし。中に入ってドア締めて」
クルスは廊下を目視確認してから部屋に入る。が、ドアの側から動こうとしない。多分、クルスなりに気をつかてくれてるのかな? 未婚の女子の部屋だからね。
「ごめん、廊下だと聞かれたらまずいし。だから小さい声で話すね。あの男爵令嬢の話… 私、総団長にウソを報告をしたよね? それでその通りになったよね?」
「あぁ。なぜだ? もしかしてだが、お前も敵とグルなのか? もしくは潜入捜査とか?」
「はぁ? グルな訳ないじゃん。でもあの時黙っててくれて助かった」
「いや… 俺はてっきりスパイなのかと… だから敵の人数を知っていたのかもと思った」
「スパイね。そうくるか… てかどっち側の? も~、私はスパイではないわ。ただ、夢に見たのよ。信じられないでしょうけど」
どこぞの王女様みたいだな。無理ある? でもこれぐらいしか誤魔化し方が思いつかない。
「夢だと?」
「うん。あのパーティーでの令嬢達とのやりとりを、つい先日夢で見てたの。その夢は『夜の庭園でドレス姿で男女二名の賊と対決する』と言う物。最初はピンと来なかったんだけどさぁ、『ドレス』と『不審者に呼び出される』で咄嗟に結びつけちゃった。ごめん。結果はいい方向へ向いたけど、違う結末を考慮しなかったわ。最悪な場合も想定するべきだった。二人とかじゃなく、複数班の可能性もあった訳だし… 団長として騎士として反省しないと」
「…」
「て、申し訳ないんだけど~この事は秘密にしてくれる?」
「あぁ。本当に結果が良かったからいいが… 今度から夢と現実を混同するなよ。それにそんな時は事前に誰かに相談するんだ。ドー… いや、ごめん」
「いいよ。そうだね。今度からはドーンのような、信頼出来る側近に話すよ。今後は無理だろうけどさ、ははっははは」
クルスは気不味くなったのか私の頭を撫でて誤魔化している。慰めてくれてるのかな? その手はとても優しいので逆に寂しくなって来た。
ドーン。
「その~ドーン様の事は残念だ。敵の攻撃だとしても… いつか記憶が戻るといいな」
「うん」
「団は違うが、俺もトリスも、それこそアレク様がいる。頼って欲しい」
「うん、うん」
ダメだ。今日はダメな気がする。また、涙が溢れてきた。
クルスはじっとその場で私が泣くのを見守ってくれた。側に誰かがいるのがこれほどありがたいと思った事はない。
私はしばらくクルスに甘えその場でまた泣いた。
「ぐすん。は~、ごめん。泣いちゃダメなのに… でもスッキリした」
「あぁ。あまり溜め込むなよ。今、まだ時間がある、もう少し寝ろ」
「うん。ごめん、ありがとう」
クルスはそう言うとドアの外へ出て、私は言われた通りにベットへ戻って二度寝した。
「ラモン様! 朝でございます!」
王城の侍女さんが朝の身支度を手伝ってくれる為に入って来た。
「あ~、うん。おはようございます」
「今日はいい天気です。顔を~ って、キャ~!」
叫び声を聞いたクルスが慌てて部屋へ入って来た。侍女さんは騎士の登場に慌てて訂正する。
「も、申し訳ございません! 何でもございません! 私が… 騎士様。大丈夫です。ですので、どうか外に。まだお嬢様は寝間着でございます」
「なっ。あっ、すまん」
なぜかクルスは赤い顔で退出する。ははは。どうしたのかな? 侍女ちゃん?
「どうかしたの?」
「あ~、その~。ラモン様のお顔が… 顔が腫れておいでで… すみません。昨夜はパーティーでしたものね。お酒もすすんだのでしょう」
やばっ。泣いたから。ごめんクルス。
「驚かせてごめんね侍女さん。昨夜は疲れてそのまま寝てしまって、へへ」
「いえ、私が悪いのです。こんな事で騒いでしまって申し訳ございません。では、そのお顔を落ち着かせましょう。今蒸しタオルをご用意致します」
「ありがとう」
「では、お着替えはお手伝いが必要でしょうか?」
「あぁ… 着替えが無いんだった。第三騎士団に使いをやって、私の騎士服を取ってくるように伝言をお願い出来る?」
「かしこまりました。朝食は部屋でお願いします。その際にお持ちします」
「何から何までありがとう」
「いえ。礼など不要です。では」
侍女さんは一礼して退室した。
は~、私の顔今どんな事になってる? プロの侍女さんが驚くぐらいだし相当パンパンそうだな。ふふふ。
私はやる事がないので、ベットに仰向けに寝転がった。
今日の会議? 審議? どうしようかな~。どんな感じなんだろう。
って、私の秘密とドーンの記憶、そして王女と女神様。
ドーンとアレクは秘密の事は知ってるけど。あ~今はアレクだけか。
私の秘密を総団長にも打ち明けようか。
どうしようか。でも悩んでもしょうがないか。事件とドーンの記憶が結びつかないもんね。
うん。
あとは信じよう。数ヶ月の付き合いだけど、総団長はきっといい人間のはずだ。