今日は第六の演習場である塔の屋上へ打ち合わせに来ている。
何の打ち合わせかって? 皇太子殿下の婚約パーティーの警備についてだ。今回は他国の要職者達も参列するからね。
「こちらです」
案内してくれる第六の騎士がさっきから私をチラチラ見てくる。ん? 誰?
「あの? 何か?」
「いえ。失礼しました」
新人君かな? 若い。女性の団長が珍しいのかな? その騎士は顔を真っ赤にして前を向いて案内に戻る。そして、屋上に着くと久しぶりの人が居た。
「キャスリーン様!」
第三魔法士団副団長、あのキャスリーン様がなぜか居た。若干、第六の団長、ユーキさんが引いている感じがするけど。苦手なのかな?
「あら? ラモン団長じゃない。打ち合わせかしら?」
「えぇ。キャスリーン様はどうされたんですか? 王族の護衛か何かですか?」
私はキャスリーン様に会えたのがうれしくてウッキウキで近寄って行く。
「ふふふ。今日はプライベートでね。お休みなのよ」
???
「あら? まだわからない?」
「ま、まさか! ユーキさんが恋人? 年下とは… 恐れ入りました。流石です!」
「あはははは。そう来るか。違うわよ~、あはは」
「おまっ。恋人とか止めろ! 気色悪いわ、こんなババァ」
「ババァ? 今、ババァって聞こえたけどぉ?」
「いや… まぁ… その…」
ユーキさんが言い返さない。タジタジだ。珍しいと言うかちょっとレアなユーキさんを見たな。てか、キャスリーン様の顔がめっちゃ怖い。これはいかんな。
「え~っと。じゃぁ、どう言うご関係で?」
「本当に鈍いのね。ドーン? この子大丈夫?」
「ははは。鈍いのではない、お前達と違って純真なのだ。団長、この二人は親子です」
は? は?
「え? ガチで? キャスリーン様からこのゴツいのが?」
「ふふふ。私も不思議なのよ~。こんなゴツいの。父親に似たんじゃない?」
「おい! ゴツいとか言い方があるだろう! チビが」
「あ~、またチビって言った! 悪口反対! 友人との約束を早速破ったよこの人」
「え? 友人? 友達なの? これと?」
「はぁ、まぁ~成り行きで」
「ふ~ん。でも良かったわ、ラモンちゃんが友達になってくれて。この子、性格がアレでしょ? 昔から友達が出来にくくてね~」
「おい! そんな話は今関係ない。てか、俺は今からこいつと仕事だ。帰れ」
「あ~はいはい。じゃぁ、当日はよろしくね? あいつにも言っといてよ」
「自分で言え! おい! クソッ、転移しやがった」
誰誰? あいつって? 父親は? めっちゃ聞きたい事盛り沢山なんだけど~!
「でも、納得です。魔法に長けているのはキャスリーン様の血なんですね?」
「あぁ… いい歳してあの格好、こっちが恥ずかしいわ。てか、お前、本当に知らなかったんだな? 父親の方も暗黙の了解だが、結構有名だぞ?」
「暗黙の了解? 何で隠すの?」
「離婚してんだよ。親。俺はババァの方に引き取られたからな」
「へぇ~。聞いてもいいなら聞きたいな。有名な父親かぁ… って、母親がかなり有名じゃん。それで十分じゃない?」
「はぁ~。お前は… まぁその内わかるだろうが」
… 沈黙。
「って、言わんのか~い! 誰ですか? 教えて下さい。魚の骨が引っかかった感じで今夜眠れません」
「まぁ… 隠すもんでもないんだが、総団長だ」
「はい?」
「だから、俺の父親はハドラー総団長」
マジ! え? じゃぁ、こいつ王家の血を引いてるの? え? え?
「それって… みんな知ってる事? え~?」
すんごい人居たよ。しかもこんな身近に。私はなぜかあたふたしてしまう。あわわわわ。
「はい、もう二十年も前に離婚しているのでみなさん忘れがちですが… ユーキ殿はキャスとハドラーの息子です」
あの二人の幼馴染のドーンが言うんだからそうだよね。そっか、そうなんだ。
「うわ~。すごいね… 次元が違い過ぎてそれしか言えない」
「ははは。それしか言えないって。普通は見る目も言動も態度も変わるんだがな。ははは、お前はやっぱり面白いな」
「なっ。面白いは余計じゃないですか? だって、知らなかったんだし。今更態度変えるのも変でしょう? てか、だからゴツいんですね。剣の腕は父親、魔法は母親って。超ハイブリット過ぎ」
「ハイブ? まぁ、そう言うこった。あと、先に言っとくが俺は継承権はないし、王族でもないぞ? 勘違いしたやつらが多くて困る。俺は普通の貴族だ」
うっ。考えてる事わかってる感じ? てか、普通の貴族って。何だそれ。
「心読みましたね? そっか、でもいいな~。キャスリーン様が母親とか。自慢ですね」
「どこがだ! 若作りババァの魔法オタクが自慢になるか。てか、ババァの話は終わりだ」
そうなの? もうこの話は終わり? 演習場には何人かの第六の騎士が集まっている。そうだそうだ、仕事で来たんだった。
「了解です」
ユーキさんは騎士達の方を見てニヤッとしてから私に聞いてくる。
「てか、ついでだ。ラモン、お前、その様子じゃさっきのやつも知らないんだな?」
さっきのやつ? 誰?
「他に誰か居ましたっけ?」
「ほら、お前を案内した若い騎士が居たろ?」
? 私がハテナになっているとドーンが口を挟む。
「団長、申し上げる程ではなかったので黙っていましたが、先程の案内した騎士は私の下の息子です」
!!!
思わずドーンを振り返る! マジか! 今日は親子祭り? すごいな第六。
「そ、そうなんだ。第六って、息子さん優秀なんだね?」
やっぱりドーンの息子は尋常じゃなかったよ。第六だよ? あの若さですごい。魔法と剣と。学校でも上位の人しか入隊出来ない超難関。
「いえ、それほどでも… 私の話はこれで止めましょう。仕事には関係ありませんから」
ドーンは涼しい顔で仕事をしようと言ってくる。って事はこれ以上は突っ込んだらダメか。
「… わかったわ。ユーキさん、話が脱線して… では、パーティーでの警備について話し合いましょうか」
それからは仕事モードになってサクサクと話を詰めた。当日の空の警備の範囲や、実際の結界がどんなもんか見たり、第三の巡回経路や要人の警備方法などを話し合った。
終始仕事に徹してはいたけど、やっぱりチラチラとドーンの息子さんが視界に入って、私はちょっと落ち着かなかった。
何の打ち合わせかって? 皇太子殿下の婚約パーティーの警備についてだ。今回は他国の要職者達も参列するからね。
「こちらです」
案内してくれる第六の騎士がさっきから私をチラチラ見てくる。ん? 誰?
「あの? 何か?」
「いえ。失礼しました」
新人君かな? 若い。女性の団長が珍しいのかな? その騎士は顔を真っ赤にして前を向いて案内に戻る。そして、屋上に着くと久しぶりの人が居た。
「キャスリーン様!」
第三魔法士団副団長、あのキャスリーン様がなぜか居た。若干、第六の団長、ユーキさんが引いている感じがするけど。苦手なのかな?
「あら? ラモン団長じゃない。打ち合わせかしら?」
「えぇ。キャスリーン様はどうされたんですか? 王族の護衛か何かですか?」
私はキャスリーン様に会えたのがうれしくてウッキウキで近寄って行く。
「ふふふ。今日はプライベートでね。お休みなのよ」
???
「あら? まだわからない?」
「ま、まさか! ユーキさんが恋人? 年下とは… 恐れ入りました。流石です!」
「あはははは。そう来るか。違うわよ~、あはは」
「おまっ。恋人とか止めろ! 気色悪いわ、こんなババァ」
「ババァ? 今、ババァって聞こえたけどぉ?」
「いや… まぁ… その…」
ユーキさんが言い返さない。タジタジだ。珍しいと言うかちょっとレアなユーキさんを見たな。てか、キャスリーン様の顔がめっちゃ怖い。これはいかんな。
「え~っと。じゃぁ、どう言うご関係で?」
「本当に鈍いのね。ドーン? この子大丈夫?」
「ははは。鈍いのではない、お前達と違って純真なのだ。団長、この二人は親子です」
は? は?
「え? ガチで? キャスリーン様からこのゴツいのが?」
「ふふふ。私も不思議なのよ~。こんなゴツいの。父親に似たんじゃない?」
「おい! ゴツいとか言い方があるだろう! チビが」
「あ~、またチビって言った! 悪口反対! 友人との約束を早速破ったよこの人」
「え? 友人? 友達なの? これと?」
「はぁ、まぁ~成り行きで」
「ふ~ん。でも良かったわ、ラモンちゃんが友達になってくれて。この子、性格がアレでしょ? 昔から友達が出来にくくてね~」
「おい! そんな話は今関係ない。てか、俺は今からこいつと仕事だ。帰れ」
「あ~はいはい。じゃぁ、当日はよろしくね? あいつにも言っといてよ」
「自分で言え! おい! クソッ、転移しやがった」
誰誰? あいつって? 父親は? めっちゃ聞きたい事盛り沢山なんだけど~!
「でも、納得です。魔法に長けているのはキャスリーン様の血なんですね?」
「あぁ… いい歳してあの格好、こっちが恥ずかしいわ。てか、お前、本当に知らなかったんだな? 父親の方も暗黙の了解だが、結構有名だぞ?」
「暗黙の了解? 何で隠すの?」
「離婚してんだよ。親。俺はババァの方に引き取られたからな」
「へぇ~。聞いてもいいなら聞きたいな。有名な父親かぁ… って、母親がかなり有名じゃん。それで十分じゃない?」
「はぁ~。お前は… まぁその内わかるだろうが」
… 沈黙。
「って、言わんのか~い! 誰ですか? 教えて下さい。魚の骨が引っかかった感じで今夜眠れません」
「まぁ… 隠すもんでもないんだが、総団長だ」
「はい?」
「だから、俺の父親はハドラー総団長」
マジ! え? じゃぁ、こいつ王家の血を引いてるの? え? え?
「それって… みんな知ってる事? え~?」
すんごい人居たよ。しかもこんな身近に。私はなぜかあたふたしてしまう。あわわわわ。
「はい、もう二十年も前に離婚しているのでみなさん忘れがちですが… ユーキ殿はキャスとハドラーの息子です」
あの二人の幼馴染のドーンが言うんだからそうだよね。そっか、そうなんだ。
「うわ~。すごいね… 次元が違い過ぎてそれしか言えない」
「ははは。それしか言えないって。普通は見る目も言動も態度も変わるんだがな。ははは、お前はやっぱり面白いな」
「なっ。面白いは余計じゃないですか? だって、知らなかったんだし。今更態度変えるのも変でしょう? てか、だからゴツいんですね。剣の腕は父親、魔法は母親って。超ハイブリット過ぎ」
「ハイブ? まぁ、そう言うこった。あと、先に言っとくが俺は継承権はないし、王族でもないぞ? 勘違いしたやつらが多くて困る。俺は普通の貴族だ」
うっ。考えてる事わかってる感じ? てか、普通の貴族って。何だそれ。
「心読みましたね? そっか、でもいいな~。キャスリーン様が母親とか。自慢ですね」
「どこがだ! 若作りババァの魔法オタクが自慢になるか。てか、ババァの話は終わりだ」
そうなの? もうこの話は終わり? 演習場には何人かの第六の騎士が集まっている。そうだそうだ、仕事で来たんだった。
「了解です」
ユーキさんは騎士達の方を見てニヤッとしてから私に聞いてくる。
「てか、ついでだ。ラモン、お前、その様子じゃさっきのやつも知らないんだな?」
さっきのやつ? 誰?
「他に誰か居ましたっけ?」
「ほら、お前を案内した若い騎士が居たろ?」
? 私がハテナになっているとドーンが口を挟む。
「団長、申し上げる程ではなかったので黙っていましたが、先程の案内した騎士は私の下の息子です」
!!!
思わずドーンを振り返る! マジか! 今日は親子祭り? すごいな第六。
「そ、そうなんだ。第六って、息子さん優秀なんだね?」
やっぱりドーンの息子は尋常じゃなかったよ。第六だよ? あの若さですごい。魔法と剣と。学校でも上位の人しか入隊出来ない超難関。
「いえ、それほどでも… 私の話はこれで止めましょう。仕事には関係ありませんから」
ドーンは涼しい顔で仕事をしようと言ってくる。って事はこれ以上は突っ込んだらダメか。
「… わかったわ。ユーキさん、話が脱線して… では、パーティーでの警備について話し合いましょうか」
それからは仕事モードになってサクサクと話を詰めた。当日の空の警備の範囲や、実際の結界がどんなもんか見たり、第三の巡回経路や要人の警備方法などを話し合った。
終始仕事に徹してはいたけど、やっぱりチラチラとドーンの息子さんが視界に入って、私はちょっと落ち着かなかった。