近頃は、騎士団からの大量注文と、金を持ってるお貴族騎士からのオーダーメイドの受注で、はっきり言って休みがない。

「あの嬢ちゃん、すごいモンを作ってくれたぜ」

 学生時代の友人、俺がまだ男爵家の三男だった頃に学校で知り合ったドーンが、ある日、小さな女の子を連れて、俺の鍛治工房へやって来た。

 あいつが人を連れて来るなんざ珍しい。

 話を聞いてみると、新しい武器を開発したから俺に作って欲しいと言う。

 俺は、設計図を確認し、材料も用意してくれたし構造も簡単だったから、一度作ってみた。

 面白い。身を守れる鈍器。十手。

 その後、何度か手直ししてようやく完成した頃、お嬢ちゃんに発想の原点を聞いてみれば、すんなり答えてくれた。それは、捕縛相手を気遣う言葉だった。

『悪いやつを傷つけないで殺さないで生捕りたい。って、本当は私が人を殺めたくないのかも。臆病なんです』

 と、恥ずかしそうに答えてくれた。

 騎士が人を殺めたくない。

 まぁ、騎士には向いていないのかもしれないが、そんなお嬢ちゃんだからこそ考え出せた武器なんだろう。今は、第1にまで認められて、こんなにも量産している。

 あとは、オーダーメイドだ。支給品の十手を改造するやつが続出している他、ドーンやお嬢ちゃんまでオリジナルの十手を依頼して来た。

 そのおかげで、それを見たやつらが、さらに押しかけて来ると言う…

 はぁ~。普通改造するか? 団の支給品を。しかも、オーダーメイドとか。あの2人は次から次にやってくれる。


 でも、おかげで借金も無くなったし娘を学校へ行かせられる。毎度あり。