もうすぐ年が終わる。就任して約四ヶ月。色々あったな~。
今日は城壁内の大掃除をみんなでやる事にしたので、食堂に非番の騎士達を集めた。
「みなさ~ん、注目! これからは毎年年末に大掃除をしようと思います。一年の汚れをみんなで落としましょう。お昼までだから簡単だけどお願いね。
あと、個人的に部屋の掃除を希望の人達が居ますね? 事前に申し込んでもらいましたが、今日十時から掃除を開始するので、寮へは立ち入り禁止になります。それまでに見られてはいけない物は片付けておいて下さい。他の人も寮へは入れませんので気をつけて下さい。では、始め!」
ボランティアで四十人程が集まってくれたので、食堂と各門の控室、執務室などの掃除をする。主に拭き掃除だ。
私とドーンはしばらくしてから寮へ向かった。
一般寮と団長の個室は離れているので、私は実は初めて立ち入る。ちょっとワクワク。
「やっぱり、年頃の男子が多いから汚いのかしら?」
「そうですね~、マメに掃除はしないでしょうな」
「変な本とかあったりして~」
「ははは、まぁ、年頃ですからね」
「そう言えば女性騎士は? 部屋はどう割り振ってるの?」
「はい。ちょうど北門の上部、二階が部屋になっていまして、万が一何かあった場合下に声が届きますので」
「なるほどね。叫べば、真下に門番が居ると言う訳ね。いい防犯対策」
「はい」
やっと実現出来た、念願の個人部屋の掃除。うれしい! 汚れていれば汚れている程、一瞬でキレイになった時のあの爽快感。シュパって! は~早くやりたい!
今回は十三部屋だから、合計三万九千K。毎度あり~。
あと、今回の掃除は女性騎士からも要請があった。一件だけだけど。どうやら掃除自体が苦手な様で、『片付けはしない、汚れを落とすだけ』と言ったら、『それでも助かる』との事だった。これって汚部屋な予感がぷんぷんするよね。にしし。
「ドーン、寮の入り口を封鎖して。よろしく」
ドーンは風魔法で入り口に盾を作り見張り役として立った。
「では、行ってきま~す」
まずは、男性から。一人目は新人くん。まずまずの整頓具合。ちょっと小物が多いかな? 部屋ってその人の人柄がわかるよね。
『洗浄』
床と壁、天井、ドアの内側、窓、ベットや机などの家具等がピカピカになる。この魔法、優秀な事に、インクは消えないのだ。だから、本や手紙などの紙類があってもそれは除外してキレイになる。私の魔法って本当に優秀!
次、次と部屋の掃除をやって行く。途中、物が散乱し過ぎて『洗浄』をかけてもあまり変わり映えしなかった部屋があったが、まぁ、散らばった服や下の床はキレイになっていたので良しとした。
最後は、唯一の女性騎士の部屋だ。いよいよだよ。どんな部屋かな~。
私はウキウキしながら勢いよくドアを開ける。
「うっ。臭い!!!」
急いで窓を開け換気だ。何がこんなに臭うんだ?
部屋を見渡すと、食べ残しのパンや飲みかけのカップ、りんごの芯かな? 腐っててちょっと原形がわからないけど…
部屋の隅の机の上に集められた生ゴミが悪臭を放っている。
「あれか。てか、こんな臭いでよく眠れるな。隣とか苦情が出ないのかな?」
私は寮の入り口で見張をしているドーンを呼びに行く。
「ドーン、これどうしようか? これはちょっと言わなきゃいけないよねぇ? 部屋は個人のテリトリーだけど、これは見過ごせない」
「ちょっとどころではありません。害虫が沸きますので団にとっても不衛生でいけません」
私はサッと『洗浄』だけかけて、窓を開けたままで女性騎士を連れてくる。
「先に謝っとくけど、ごめんね、部屋の中を私とドーンが見ちゃったんだ。それには理由があってさ」
女性騎士はビクッとして真っ赤な顔になって部屋へ入った。
部屋がキレイで驚いたのかぐるりと見渡していたが、部屋の隅のアレを見つけてさらに真っ赤になっていた。
「申し訳ございません。あれを見たのですね?」
「えぇ。掃除の人がね教えてくれて… あわよくば片付けてくれると思った?」
「はい、申し訳ございません」
女性騎士は直角に頭を下げる。
「面倒臭いのはわかるけど、生ゴミは溜めないで。衛生的に他の人へ悪影響よ。虫も寄ってくるし。あと、あなたこんな臭いでよく眠れるわね? 身体大丈夫?」
「は~、まぁ。多少臭いますが私の家はスラムに近かったので慣れています」
そうなの? スラム街って臭いの?
「そっか… でも今後はしないでね。生ゴミが出たらその都度食堂へ持って行きなさい。一緒に捨てて貰えばいいし」
「了解しました」
「はい、じゃぁ、これは今から片付けて捨てて来なさい」
女性騎士を残し、私達は食堂へ戻る。
「みなさん、ご苦労様でした~! とてもキレイになりました。ありがとうございます。で、ここでお知らせです。今日、掃除を依頼してくれた人から集めたお金で腕相撲大会を開催します! 賞金は三万Kです。時間は七時~食堂でやりますので、今ここに居ない隊員にも知らせて下さい! 今日の七時から九時までは全ての隊員が休みになります。その時間は先生達が仕事を代わってくれるので安心して下さい!」
「やった~!」
「腕相撲なら勝てるかも」
「賞金出るとかヤバい」
ガヤガヤと騒がしい。うんうん。
年末のパーティーじゃないけど、みんなでお疲れ様会をしたかった私は、お爺ちゃん先生達に相談した。今までどんな親睦会? をしていたのか。
今まではナシ。そりゃ~そうか。
でも、やっぱり私はみんなで何かしたかったので『騎士だし力比べは? 賞金も出そうかな』って思いついたことをポロッと言ったんだよね。
そうしたらお爺ちゃん達が『全員参加させてやらないと文句が出そうじゃ、ははは』って、通行人が少なくなる時間帯、夜七時から九時まで仕事をしてくれる事になった。報酬はナシでいいとの事。『今の仕事になって十分楽させてくれてるから、団長へのお礼だ』と言ってくれた。う~、泣ける。で、お言葉に甘えて腕相撲大会を開催する運びとなった。
「では、解散! みんなに言っといてよ! お願いね~」
今日は城壁内の大掃除をみんなでやる事にしたので、食堂に非番の騎士達を集めた。
「みなさ~ん、注目! これからは毎年年末に大掃除をしようと思います。一年の汚れをみんなで落としましょう。お昼までだから簡単だけどお願いね。
あと、個人的に部屋の掃除を希望の人達が居ますね? 事前に申し込んでもらいましたが、今日十時から掃除を開始するので、寮へは立ち入り禁止になります。それまでに見られてはいけない物は片付けておいて下さい。他の人も寮へは入れませんので気をつけて下さい。では、始め!」
ボランティアで四十人程が集まってくれたので、食堂と各門の控室、執務室などの掃除をする。主に拭き掃除だ。
私とドーンはしばらくしてから寮へ向かった。
一般寮と団長の個室は離れているので、私は実は初めて立ち入る。ちょっとワクワク。
「やっぱり、年頃の男子が多いから汚いのかしら?」
「そうですね~、マメに掃除はしないでしょうな」
「変な本とかあったりして~」
「ははは、まぁ、年頃ですからね」
「そう言えば女性騎士は? 部屋はどう割り振ってるの?」
「はい。ちょうど北門の上部、二階が部屋になっていまして、万が一何かあった場合下に声が届きますので」
「なるほどね。叫べば、真下に門番が居ると言う訳ね。いい防犯対策」
「はい」
やっと実現出来た、念願の個人部屋の掃除。うれしい! 汚れていれば汚れている程、一瞬でキレイになった時のあの爽快感。シュパって! は~早くやりたい!
今回は十三部屋だから、合計三万九千K。毎度あり~。
あと、今回の掃除は女性騎士からも要請があった。一件だけだけど。どうやら掃除自体が苦手な様で、『片付けはしない、汚れを落とすだけ』と言ったら、『それでも助かる』との事だった。これって汚部屋な予感がぷんぷんするよね。にしし。
「ドーン、寮の入り口を封鎖して。よろしく」
ドーンは風魔法で入り口に盾を作り見張り役として立った。
「では、行ってきま~す」
まずは、男性から。一人目は新人くん。まずまずの整頓具合。ちょっと小物が多いかな? 部屋ってその人の人柄がわかるよね。
『洗浄』
床と壁、天井、ドアの内側、窓、ベットや机などの家具等がピカピカになる。この魔法、優秀な事に、インクは消えないのだ。だから、本や手紙などの紙類があってもそれは除外してキレイになる。私の魔法って本当に優秀!
次、次と部屋の掃除をやって行く。途中、物が散乱し過ぎて『洗浄』をかけてもあまり変わり映えしなかった部屋があったが、まぁ、散らばった服や下の床はキレイになっていたので良しとした。
最後は、唯一の女性騎士の部屋だ。いよいよだよ。どんな部屋かな~。
私はウキウキしながら勢いよくドアを開ける。
「うっ。臭い!!!」
急いで窓を開け換気だ。何がこんなに臭うんだ?
部屋を見渡すと、食べ残しのパンや飲みかけのカップ、りんごの芯かな? 腐っててちょっと原形がわからないけど…
部屋の隅の机の上に集められた生ゴミが悪臭を放っている。
「あれか。てか、こんな臭いでよく眠れるな。隣とか苦情が出ないのかな?」
私は寮の入り口で見張をしているドーンを呼びに行く。
「ドーン、これどうしようか? これはちょっと言わなきゃいけないよねぇ? 部屋は個人のテリトリーだけど、これは見過ごせない」
「ちょっとどころではありません。害虫が沸きますので団にとっても不衛生でいけません」
私はサッと『洗浄』だけかけて、窓を開けたままで女性騎士を連れてくる。
「先に謝っとくけど、ごめんね、部屋の中を私とドーンが見ちゃったんだ。それには理由があってさ」
女性騎士はビクッとして真っ赤な顔になって部屋へ入った。
部屋がキレイで驚いたのかぐるりと見渡していたが、部屋の隅のアレを見つけてさらに真っ赤になっていた。
「申し訳ございません。あれを見たのですね?」
「えぇ。掃除の人がね教えてくれて… あわよくば片付けてくれると思った?」
「はい、申し訳ございません」
女性騎士は直角に頭を下げる。
「面倒臭いのはわかるけど、生ゴミは溜めないで。衛生的に他の人へ悪影響よ。虫も寄ってくるし。あと、あなたこんな臭いでよく眠れるわね? 身体大丈夫?」
「は~、まぁ。多少臭いますが私の家はスラムに近かったので慣れています」
そうなの? スラム街って臭いの?
「そっか… でも今後はしないでね。生ゴミが出たらその都度食堂へ持って行きなさい。一緒に捨てて貰えばいいし」
「了解しました」
「はい、じゃぁ、これは今から片付けて捨てて来なさい」
女性騎士を残し、私達は食堂へ戻る。
「みなさん、ご苦労様でした~! とてもキレイになりました。ありがとうございます。で、ここでお知らせです。今日、掃除を依頼してくれた人から集めたお金で腕相撲大会を開催します! 賞金は三万Kです。時間は七時~食堂でやりますので、今ここに居ない隊員にも知らせて下さい! 今日の七時から九時までは全ての隊員が休みになります。その時間は先生達が仕事を代わってくれるので安心して下さい!」
「やった~!」
「腕相撲なら勝てるかも」
「賞金出るとかヤバい」
ガヤガヤと騒がしい。うんうん。
年末のパーティーじゃないけど、みんなでお疲れ様会をしたかった私は、お爺ちゃん先生達に相談した。今までどんな親睦会? をしていたのか。
今まではナシ。そりゃ~そうか。
でも、やっぱり私はみんなで何かしたかったので『騎士だし力比べは? 賞金も出そうかな』って思いついたことをポロッと言ったんだよね。
そうしたらお爺ちゃん達が『全員参加させてやらないと文句が出そうじゃ、ははは』って、通行人が少なくなる時間帯、夜七時から九時まで仕事をしてくれる事になった。報酬はナシでいいとの事。『今の仕事になって十分楽させてくれてるから、団長へのお礼だ』と言ってくれた。う~、泣ける。で、お言葉に甘えて腕相撲大会を開催する運びとなった。
「では、解散! みんなに言っといてよ! お願いね~」