朝六時。
「おはよ~」
誰も居ない寮のベットで私はつぶやく。
あの説明会から十日が経った。新しい勤務体制に最初は色々行き違いがあったりしたが、概ね良好な滑り出しをしている。
八時間勤務の後、次の勤務まで時間は空くし、半休だが休みもある。休みが増えて自主的に身体を鍛える者や勉強している者がいるそうだ。
「よし、今日も一日がんばりますか」
朝七時過ぎ。
私は身支度をして食堂へ向かう。第七の朝は早い。交代時間の前後二時間が食事時間になっているからだ。
「今日は軽く済ませよう」
「おはよ~、団長」
食堂へ到着すると次々に声がかかる。
「パンとサラダをお願い」
みんなと同じようにトレイを持って列に並ぶ。新しく入った料理人のゴリさんに注文して、近くのテーブルへ座った。
「団長、これだけ?」
「今日は団長の訓練ありますか?」
「お疲れさん、団長。俺は上がりなんだ」
ボ~ッとした頭でハイハイと返事をしていく。あの一件以来、隊員達は私に対して友好的だ。
朝八時。
団長室で今日の事務仕事を始める。各門から集められた日誌を読む。ふむふむ、南門で商人が暴れた、か。
「ドーン、この暴れた商人って多分あれだよね? 今まで便宜を図っていた系?」
「恐らく。いつもの担当が居ないので連れて来いと言い出したそうですよ」
「ふ~ん。そろそろ商人達も門のルールが変わった事、気が付き始めたんじゃない?」
「そうですな。そろそろあちらさんから苦情が来るかもしれません」
あちらさん。そう、商業ギルドだ。
「その時は呼んでね。直接話がしたいし」
「了解です」
昼一時。
「コリーナ、アレクちょっと着いて来てくれる? ドーン、あとはお願いね」
「あっ、はい」
丸渕メガネの背の高い彼女は、今回側近になった一人だ。薬草学に長けていて、ちょっとした切り傷の軟膏などを自作して団のみんなに分けたりしていた。
「今日はね、魔獣ギルドへ行くわ」
東門へ転移して、城門近くの魔獣ギルドへお出かけだ。
魔獣ギルドのギルド長と城外の森で採れる薬草の種類や買取価格など、あいさつも兼ねて教えてもらう。
「ラモン団長、門番が薬草狩りですか? あれは初心者向けのクエストですよ?」
「あぁ、ギルド長。参考までにです。ウチの者はしませんよ。まぁ、個人的に小遣い稼ぎをする者はいるかもしれませんが、はは」
「そうですか… まぁ、集めて下さるならウチとしても助かります。薬草はいくつあっても足りませんし。初級クエストなんで人気もありませんからねぇ」
よし。これで一つ問題解決だ。
コリーナに詳細を筆記させ色々見てもらう。様々な生の薬草に触れられるのがうれしいのか、テンションが上がっている。
昼三時。
お昼を食べてからドーンを連れて演習場で騎士達の鍛練の見学と、お爺ちゃん先生達の教室を覗く。
「団長、あん時の絞め技教えてくれよ」
そばかすの下位騎士が声をかけてきた。
「う~ん、いいけど、そんなすぐには会得出来ないわよ。まずは体力作りね」
「そんな~」
渋々その騎士は下がって行き、外周を走り出した。
「ラモン団長。いい天気ですな」
お爺ちゃん先生がニコニコと近づいて来る。
「そうね。青空教室ね。どう? 順調?」
「えぇ、えぇお陰様で。騎士達はアホばっかりで手を焼いてますが、儂らの健康が順調です。料理をしていた時より腰や足が痛まないですからな、ほぉっほぉっ。少し剣も握れて気分もいい。何より昼勤務なのが助かってますわい」
「それはよかったわ。いくら元騎士だからって歳なんだから無理はしないでね」
「はいはい」
夕方五時。
「今日はここまで。ご苦労様。明日は誰が付くの?」
「はい、明日はトリスです」
「了解」
アレク、トリス、クルス、テッセンの四人は門番組と同じ様に四交代制で側近の仕事をしてくれている。何かあった時用に、この団長室に待機する役目だ。あとは、各部隊に欠番が出た時のピンチヒッターだったり。
私とドーン、コリーナ、リックマイヤーは昼勤務。八時から五時の昼一時間休憩だ。五連勤の二日休み。私とドーンだけは六連勤の一日休みで、私が火曜日、ドーンは木曜日が休みだ。
夕方六時。
自室で晩御飯までの間に手紙を読んだり、シャワーを浴びたり、寝たり… 自由時間を過ごす。
そうそう、シャワー室なんだけど。汚いの何のって… 私は誰もいない時を見計らってすぐ様『洗浄』でピカピカにした。
はぁ、男共って何でこうも掃除をしないのかねぇ。
「あっ、早速ケリーから返事が来てる!」
先日送った返事がもう来ていた。
何、何?
『今度、休みを合わせてカフェにでも行かない? 美味しいスイーツの店を発見したんだ。そのあとはいつもの様に飲みに行こう!』
いいね~。ケリー、甘い物好きだしね。
じゃぁ、来週辺り合いそうなら行きますか。
私はルンルンで返事を書く。久しぶりのケリー。あれこれしゃべって思っくそ飲むぞ!!!
夜九時。
遅い夕食を食べる。もう慣れたけど、ちょっとだけ遅いんだよね。寝る前にご飯って。まぁ、勤務時間を決めたのは私だし、しょうがないんだけど。
夜十時。
今日も一日お疲れ様でした。
「おやすみなさい」
「おはよ~」
誰も居ない寮のベットで私はつぶやく。
あの説明会から十日が経った。新しい勤務体制に最初は色々行き違いがあったりしたが、概ね良好な滑り出しをしている。
八時間勤務の後、次の勤務まで時間は空くし、半休だが休みもある。休みが増えて自主的に身体を鍛える者や勉強している者がいるそうだ。
「よし、今日も一日がんばりますか」
朝七時過ぎ。
私は身支度をして食堂へ向かう。第七の朝は早い。交代時間の前後二時間が食事時間になっているからだ。
「今日は軽く済ませよう」
「おはよ~、団長」
食堂へ到着すると次々に声がかかる。
「パンとサラダをお願い」
みんなと同じようにトレイを持って列に並ぶ。新しく入った料理人のゴリさんに注文して、近くのテーブルへ座った。
「団長、これだけ?」
「今日は団長の訓練ありますか?」
「お疲れさん、団長。俺は上がりなんだ」
ボ~ッとした頭でハイハイと返事をしていく。あの一件以来、隊員達は私に対して友好的だ。
朝八時。
団長室で今日の事務仕事を始める。各門から集められた日誌を読む。ふむふむ、南門で商人が暴れた、か。
「ドーン、この暴れた商人って多分あれだよね? 今まで便宜を図っていた系?」
「恐らく。いつもの担当が居ないので連れて来いと言い出したそうですよ」
「ふ~ん。そろそろ商人達も門のルールが変わった事、気が付き始めたんじゃない?」
「そうですな。そろそろあちらさんから苦情が来るかもしれません」
あちらさん。そう、商業ギルドだ。
「その時は呼んでね。直接話がしたいし」
「了解です」
昼一時。
「コリーナ、アレクちょっと着いて来てくれる? ドーン、あとはお願いね」
「あっ、はい」
丸渕メガネの背の高い彼女は、今回側近になった一人だ。薬草学に長けていて、ちょっとした切り傷の軟膏などを自作して団のみんなに分けたりしていた。
「今日はね、魔獣ギルドへ行くわ」
東門へ転移して、城門近くの魔獣ギルドへお出かけだ。
魔獣ギルドのギルド長と城外の森で採れる薬草の種類や買取価格など、あいさつも兼ねて教えてもらう。
「ラモン団長、門番が薬草狩りですか? あれは初心者向けのクエストですよ?」
「あぁ、ギルド長。参考までにです。ウチの者はしませんよ。まぁ、個人的に小遣い稼ぎをする者はいるかもしれませんが、はは」
「そうですか… まぁ、集めて下さるならウチとしても助かります。薬草はいくつあっても足りませんし。初級クエストなんで人気もありませんからねぇ」
よし。これで一つ問題解決だ。
コリーナに詳細を筆記させ色々見てもらう。様々な生の薬草に触れられるのがうれしいのか、テンションが上がっている。
昼三時。
お昼を食べてからドーンを連れて演習場で騎士達の鍛練の見学と、お爺ちゃん先生達の教室を覗く。
「団長、あん時の絞め技教えてくれよ」
そばかすの下位騎士が声をかけてきた。
「う~ん、いいけど、そんなすぐには会得出来ないわよ。まずは体力作りね」
「そんな~」
渋々その騎士は下がって行き、外周を走り出した。
「ラモン団長。いい天気ですな」
お爺ちゃん先生がニコニコと近づいて来る。
「そうね。青空教室ね。どう? 順調?」
「えぇ、えぇお陰様で。騎士達はアホばっかりで手を焼いてますが、儂らの健康が順調です。料理をしていた時より腰や足が痛まないですからな、ほぉっほぉっ。少し剣も握れて気分もいい。何より昼勤務なのが助かってますわい」
「それはよかったわ。いくら元騎士だからって歳なんだから無理はしないでね」
「はいはい」
夕方五時。
「今日はここまで。ご苦労様。明日は誰が付くの?」
「はい、明日はトリスです」
「了解」
アレク、トリス、クルス、テッセンの四人は門番組と同じ様に四交代制で側近の仕事をしてくれている。何かあった時用に、この団長室に待機する役目だ。あとは、各部隊に欠番が出た時のピンチヒッターだったり。
私とドーン、コリーナ、リックマイヤーは昼勤務。八時から五時の昼一時間休憩だ。五連勤の二日休み。私とドーンだけは六連勤の一日休みで、私が火曜日、ドーンは木曜日が休みだ。
夕方六時。
自室で晩御飯までの間に手紙を読んだり、シャワーを浴びたり、寝たり… 自由時間を過ごす。
そうそう、シャワー室なんだけど。汚いの何のって… 私は誰もいない時を見計らってすぐ様『洗浄』でピカピカにした。
はぁ、男共って何でこうも掃除をしないのかねぇ。
「あっ、早速ケリーから返事が来てる!」
先日送った返事がもう来ていた。
何、何?
『今度、休みを合わせてカフェにでも行かない? 美味しいスイーツの店を発見したんだ。そのあとはいつもの様に飲みに行こう!』
いいね~。ケリー、甘い物好きだしね。
じゃぁ、来週辺り合いそうなら行きますか。
私はルンルンで返事を書く。久しぶりのケリー。あれこれしゃべって思っくそ飲むぞ!!!
夜九時。
遅い夕食を食べる。もう慣れたけど、ちょっとだけ遅いんだよね。寝る前にご飯って。まぁ、勤務時間を決めたのは私だし、しょうがないんだけど。
夜十時。
今日も一日お疲れ様でした。
「おやすみなさい」