「おぉ、久しぶりだな? 団長会議以来か?」
「あ~!!! ケイン団長! 異動してから全く挨拶に伺えなくて… すみません」
たまたま鍛冶屋へ向かう途中で、巡回中? の第二騎士団長に出会った。
「いや、いいんだ。あの第七だしな、色々大変だろう?」
コソコソとドーンを気にしながらケイン団長は私に耳打ちする。
「ははは、そんな事はありませんよ。相変わらず事務仕事が苦手ですが… ドーンのおかげで何とかやれています」
「お前、ドーンって… まぁ、そっか。ちゃんと信頼関係を築けたか。よかったよ。てっきり参謀殿にこき使われてるんじゃないかと心配してたんだ」
「ふふふ、ケイン団長は相変わらずですね? 部下の事を心配しすぎです。その内ハゲますよ?」
「おい!」
ドーンがニコニコしながら後ろから声をかける。
「失礼。ケイン団長、ラモン団長の事はご心配なく。私がお守りしますので。これから何かとよろしく願いします」
「おっ、おう。はい、よろしく願いします?」
「あはは、ケイン団長! 緊張しすぎ! ドーンはちょっと過保護なんです。私が小娘なんで… ほら、団長としてもペーペーなんで、へへへ」
ケイン団長は小声で囁く。
「それだけじゃないだろう… この殺気…」
「え?」
「いや… それよりラモン。これからは同じ団長なんだケインと呼ぶように」
「それ… それどうにかなりませんかね? 私にはハードルが高くて」
「まぁ、しょうがないだろ。曲がりなりにも団長なんだ。規律もあるし部下に示しがつかない」
「ですが…」
私はイジイジとしてしまう。ちょっと久しぶりの第二の雰囲気に甘えたくなってしまう。
「そう、深く考えるな。呼び捨てぐらいで怒る奴なんざそもそも騎士じゃねぇ。どうしても抵抗があるなら役職で呼べばいいだろ? 『ケイン団長』とか役職を後につければ失礼にならないさ。俺も、ああは言ったがもう団長付きの呼び方でいいよ」
「それ! それいただきました! ケイン団長、最高!」
思わずケイン団長の手を取って喜ぶ。
「ラモン団長、そろそろ」
「そうですね。引き止めてすみませんでした。今度休日にでも第二へ遊びに行きますね。ケイン団長、そうやって息抜きに抜け出すとまた副団長に怒られますよ? 早く帰った方がいいですよ?」
「あぁ。ぼちぼちな。そう言えばケリーがお前に話があるそうだ。手紙でも書いてやれ?」
「了解です。ケリーかぁ」
じゃぁな、とケイン団長は人ごみに消えて行った。
「ケリー殿とは?」
「あぁ、第二時代の同僚です。女性が少ないのでよく二人で連んでて、悪友?」
「ほぉ、同期ですか?」
「えぇ」
「それはそれは。同期とはいいものです。交友関係は大切になさった方がいいですよ?」
「そうね。早速手紙を書かなきゃ。ドーンの同期って誰? 私も知ってるかな?」
「そうですな… 有名どころでは総団長ですな。あとは第三魔法士団の副団長ですかな」
え~!!!
「ご、豪華。すごい同期ね。しかも、第三魔法士団の副団長と言えば、キャスリーン様!!!」
女性の憧れキャスリーン様。魔法を巧みに操る上位魔法使い! 王妃様や王女様の護衛!
「まぁ、総団長とは幼い頃からの仲ですから、兄弟のような関係ですね」
「総団長と幼馴染! 何その設定! てか、キャスリーン様ってどんな方なの? やっぱり凛としてステキなの? いい匂いしそうだよね~、美魔女って噂だし、妖艶な感じ?」
「ははは、そんなイイモノじゃないですよ? 噂に尾ひれがつき過ぎていますね、ふふふ」
「え? そうなの?」
「はい、まぁ会ってからのお楽しみで」
「会う機会ってないんじゃない? 魔法士団だし」
「いえいえ、新年の王族主催のパーティーで会えますよ。全ての団長と副団長は強制ですからね。そうそう、団長もドレスのご用意が必要ですね」
ん? 聞いてないよ。ドレスとか、ナイナイ。元々持ってないぞ… どうしたものか。
「それって経費じゃないよね? 団長服ではダメかな?」
「ダメですね。式典ではありませんから。他の方々もタキシードとドレスですよ」
「はぁぁ。地味に出費がきついなぁ。王族主催ならそれ相応のドレスよね? 目立ちたくないなぁ」
「そうですね。一流のお店で仕立てた方が… 逆に目立ちませんよ。上位貴族が多いでしょうし」
なぜ上位貴族の女性は、ドレスに何でそんなに気合いがいるのか。まぁ、貧乏子爵にはその心情は理解出来ないんだけど。
上位貴族のお嬢様なら、有り余るお金で惜しみなく着飾れるのが楽しいのかもね。そりゃ、婚活にも精が出るってもんよ。って、私が着飾った所で、王族主催なんて出会っても身分が合わないから無駄なドレスになってしまうんだけど、う~。
「その日はお腹が痛くなるとかナシ?」
「ナシです」
はい、すみません。ちょっと言ってみただけです。
お店に着いた私達は、ノックスへ十手の改良を伝えて再度試作品をお願いした。ノックスに十手の使い方を教えたら楽しそうにブンブン振っていた。
あと、ドーンの剣捌きが早くて驚いたと言ったら、『昔から涼しい顔で何でもこなしていた。イケスカねぇ』と呟いたノックスにドーンが、お店に飾ってあった剣を投げていた。
「あ~!!! ケイン団長! 異動してから全く挨拶に伺えなくて… すみません」
たまたま鍛冶屋へ向かう途中で、巡回中? の第二騎士団長に出会った。
「いや、いいんだ。あの第七だしな、色々大変だろう?」
コソコソとドーンを気にしながらケイン団長は私に耳打ちする。
「ははは、そんな事はありませんよ。相変わらず事務仕事が苦手ですが… ドーンのおかげで何とかやれています」
「お前、ドーンって… まぁ、そっか。ちゃんと信頼関係を築けたか。よかったよ。てっきり参謀殿にこき使われてるんじゃないかと心配してたんだ」
「ふふふ、ケイン団長は相変わらずですね? 部下の事を心配しすぎです。その内ハゲますよ?」
「おい!」
ドーンがニコニコしながら後ろから声をかける。
「失礼。ケイン団長、ラモン団長の事はご心配なく。私がお守りしますので。これから何かとよろしく願いします」
「おっ、おう。はい、よろしく願いします?」
「あはは、ケイン団長! 緊張しすぎ! ドーンはちょっと過保護なんです。私が小娘なんで… ほら、団長としてもペーペーなんで、へへへ」
ケイン団長は小声で囁く。
「それだけじゃないだろう… この殺気…」
「え?」
「いや… それよりラモン。これからは同じ団長なんだケインと呼ぶように」
「それ… それどうにかなりませんかね? 私にはハードルが高くて」
「まぁ、しょうがないだろ。曲がりなりにも団長なんだ。規律もあるし部下に示しがつかない」
「ですが…」
私はイジイジとしてしまう。ちょっと久しぶりの第二の雰囲気に甘えたくなってしまう。
「そう、深く考えるな。呼び捨てぐらいで怒る奴なんざそもそも騎士じゃねぇ。どうしても抵抗があるなら役職で呼べばいいだろ? 『ケイン団長』とか役職を後につければ失礼にならないさ。俺も、ああは言ったがもう団長付きの呼び方でいいよ」
「それ! それいただきました! ケイン団長、最高!」
思わずケイン団長の手を取って喜ぶ。
「ラモン団長、そろそろ」
「そうですね。引き止めてすみませんでした。今度休日にでも第二へ遊びに行きますね。ケイン団長、そうやって息抜きに抜け出すとまた副団長に怒られますよ? 早く帰った方がいいですよ?」
「あぁ。ぼちぼちな。そう言えばケリーがお前に話があるそうだ。手紙でも書いてやれ?」
「了解です。ケリーかぁ」
じゃぁな、とケイン団長は人ごみに消えて行った。
「ケリー殿とは?」
「あぁ、第二時代の同僚です。女性が少ないのでよく二人で連んでて、悪友?」
「ほぉ、同期ですか?」
「えぇ」
「それはそれは。同期とはいいものです。交友関係は大切になさった方がいいですよ?」
「そうね。早速手紙を書かなきゃ。ドーンの同期って誰? 私も知ってるかな?」
「そうですな… 有名どころでは総団長ですな。あとは第三魔法士団の副団長ですかな」
え~!!!
「ご、豪華。すごい同期ね。しかも、第三魔法士団の副団長と言えば、キャスリーン様!!!」
女性の憧れキャスリーン様。魔法を巧みに操る上位魔法使い! 王妃様や王女様の護衛!
「まぁ、総団長とは幼い頃からの仲ですから、兄弟のような関係ですね」
「総団長と幼馴染! 何その設定! てか、キャスリーン様ってどんな方なの? やっぱり凛としてステキなの? いい匂いしそうだよね~、美魔女って噂だし、妖艶な感じ?」
「ははは、そんなイイモノじゃないですよ? 噂に尾ひれがつき過ぎていますね、ふふふ」
「え? そうなの?」
「はい、まぁ会ってからのお楽しみで」
「会う機会ってないんじゃない? 魔法士団だし」
「いえいえ、新年の王族主催のパーティーで会えますよ。全ての団長と副団長は強制ですからね。そうそう、団長もドレスのご用意が必要ですね」
ん? 聞いてないよ。ドレスとか、ナイナイ。元々持ってないぞ… どうしたものか。
「それって経費じゃないよね? 団長服ではダメかな?」
「ダメですね。式典ではありませんから。他の方々もタキシードとドレスですよ」
「はぁぁ。地味に出費がきついなぁ。王族主催ならそれ相応のドレスよね? 目立ちたくないなぁ」
「そうですね。一流のお店で仕立てた方が… 逆に目立ちませんよ。上位貴族が多いでしょうし」
なぜ上位貴族の女性は、ドレスに何でそんなに気合いがいるのか。まぁ、貧乏子爵にはその心情は理解出来ないんだけど。
上位貴族のお嬢様なら、有り余るお金で惜しみなく着飾れるのが楽しいのかもね。そりゃ、婚活にも精が出るってもんよ。って、私が着飾った所で、王族主催なんて出会っても身分が合わないから無駄なドレスになってしまうんだけど、う~。
「その日はお腹が痛くなるとかナシ?」
「ナシです」
はい、すみません。ちょっと言ってみただけです。
お店に着いた私達は、ノックスへ十手の改良を伝えて再度試作品をお願いした。ノックスに十手の使い方を教えたら楽しそうにブンブン振っていた。
あと、ドーンの剣捌きが早くて驚いたと言ったら、『昔から涼しい顔で何でもこなしていた。イケスカねぇ』と呟いたノックスにドーンが、お店に飾ってあった剣を投げていた。