もやもやとしたものが胸裏で渦を巻いているのと同時に、どこかすっきりとした感覚もあった。今まで残されてきた課題が解決したような、清々しいとも言い表せるもの。これもまた、言語化の難しい不定形の何かだ。
 中学校の頃から引きずってきた因縁のようなものをここで断ち切ったような気分だ。あくまでもほんの一部の要素だけであり、抱えてきた問題の全てが払拭されたわけではない。でもどこか、気が軽くなったような感じがした。
 僕がこう感じる事について、瑠夏には申し訳なく思う。だが疑いようのない、自分の感じた事だ。ようやく前へ踏み出せるという気もしてくる。
 ずっと後ろばかりを気にしていた僕だったが、今度は前を向いて歩く事ができるのかもしれない。そうでもしなければ、瑠夏の勇気ある行動が無駄に終わってしまう。何かしらの、持続し続ける変化を生む事が必要なのだ。
 だから僕は、前を向いてみる事に決めた。彼女がそうしたように、僕も変わらなくてはならない。久しぶりに、心が揺れ動いた。