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「で、どうしたってのよ夏紀。隣から黒板消しの趣味が移ったか?」

毎授業ごとに黒板をきっちりと消し、4時間目の分も消し終わってお弁当を食べようと花のところに着いた瞬間これだ。
まあ、そうなるよねとは思う。

「いやなんか誰もいないじゃん消す人。だからそれで先生があれ、ってなるより私が消した方がもしかしたら印象良くなるかもしれないでしょ?」
「え、なんだそれめっちゃ計算優等生じゃんそんなキャラだった?」
「いやなんか気が向いたから?」

かなり怪しんでいた様子だった花だけどケラケラと笑っていた。よかった。
私はそこまで花と深い信頼関係は築けてない。
だから警戒体制でいかないと危険だ。

変人と言われている人に関わると自分まで変人扱いされてしまう。そうなったら普通に学校生活がやりにくい。あまりに損だ。
私は割と変な人だという自覚はあるけど最低限学校社会でうまくやる術は身につけている。


実は今日の放課後、私は栗花落君の家に行くことになっている。
さっき休み時間に「栗花落君のプリント届けましょうか?」と先生に根回ししておいたのだ。

栗花落君に伝えるのだ。
何をって?
そりゃ決まってるでしょ。