ディ・イエデより遥か離れた星、そこにはある星間国家が鎮座していた。レミレランド星間連邦。燃え盛るような赤を主体とした旗の中心には二つの剣が交差している。…その国旗からも仇なす全ての敵を殲滅せんとする気概が伝わってきた。そんな国の皇宮にある玉座にてシュターリンはいつかのように酒を片手に玉座で膝を組んで考え事をしていた。
「遅い。いつになったら彼の国が我が手中に収まるのだ。現場指揮官は何をしておる。」
そうボヤいてもシュターリン以外いないこの部屋から返答が返ってくることは当然無く、ただただ静寂のみが広がる。シュターリンは酒片手に窓際まで歩み寄った。いつの日かとは違い、窓の外からは街の様子がはっきり見えた。…街は酷く荒廃しておりこれが城下町とは言えない惨状であった。その様子を見たシュターリンは拳を強く握りしめる。早くしなければ。その思いがシュターリンを一層締め付ける。…この地獄のような日々はいつから始まったんだったか、とシュターリンは昔を思い出し始めた。
遥か数百、あるいは数千年前、我々の祖先はかつてこの宇宙で最大版図を誇るレミレランド帝国であった。レミレランド帝国の戦闘艦はどれほど高度な文明の星間国家であっても撃破できず、レミレランドがこの宇宙最強として名を馳せていた。その為、レミレランドの周辺に位置している星国家はレミレランドに保護してもらう為、レミレランドとレミレランド有利の連邦契約を結んだ。それが、レミレランド星間連邦の誕生である。10を超える星国家が集ったこの連邦国家では、最強であるレミレランド帝国の発言は影響力が大きく全ての事柄はレミレランドの一声で解決できたため、星間連邦の安寧に大きく寄与していた。だが、それは逆に各星国家の意向を無駄にしているのと同義であった。さらに最強は永遠に最強ではなかった。そこから数百年後、別の星間国家が開発した戦闘艦はレミレランドのそれでは全く歯がたたなかった。驕る者は久しからずと言うがまさにその通り、数百年間宇宙の覇者であったレミレランド帝国。だが、最強の座から引き摺り下ろされた時、最早その国に威信はなかった。連邦加盟国は威信のなくなった国について行く義理はない。そう吐き捨て、約50年ほど前、突如としてレミレランド星間連邦の一角をなしていたフランドル星間帝国がレミレランドとの連邦契約を切り、独自陣営として独立すると発表したのだ。それに感化された諸国は次々にフランドルのように独立を宣言し、連邦から去ろうとしていた。そのような暴挙に連邦は了解サインを出す筈がなかった。連邦は勝手に独立を宣言した星国家に対し、速やかに連邦に謝罪し再び連邦に戻るよう呼びかけたが、その呼びかけ自体力を失った帝国では無駄であった。独立と言う悲願を果たす為、彼らは一斉に連邦の本拠地、レミレランドに侵攻してきた。そこから、戦争が終結する、実に48年間もの間、レミレランドでは本土決戦が続けられてきた。結果として言えばかろうじて奴らの侵攻を跳ね返すことができた。だが、本土決戦となってしまった為、都市は荒廃し、作物が育たなくなってしまった。加えてフランドルが御礼品といってレミレランドに撃ち込んだ「楔」がレミレランドを一層苦しめた。それは、「核変質装置」である。この場合の核とは、天体の中心核の事である。フランドルが撃ち込み、起動したこの「核変質装置」は、惑星レミレランドの核である金属核を融解させ、装置内部にある別の物質と置き換える事でその星を徐々に惑星から恒星へと変えていってしまう、恐ろしい装置なのである。これを起動されたレミレランドは最早どうすることもできず、移住先の選定に着手した。レミレランドに似た環境を探すため、移住先の決定は地獄のような日々であった。惑星へと変貌を遂げようとする母星、レミレランドは日に日に気温が上がっていった。このままでは、あと数年でこの星は灼熱地獄となり、人類が生きることは不可能であることは火を見るより明らかだった。そんな時に見つけたディ・イエデはレミレランドと類似した点を多く持っていた。…これなら、ここなら民を移住させ再び安寧を築くことができる。そう思っていたのだが、想像以上に攻略は苦戦している。今配属されている現場指揮官は貴族連盟からの推薦だが、本当に責務を果たせるのだろうか。シュターリンはイライラとぶつけようのない怒りと焦りを感じ、それを紛らわせるかのように勢いよく酒を飲み込んだ。
「遅い。いつになったら彼の国が我が手中に収まるのだ。現場指揮官は何をしておる。」
そうボヤいてもシュターリン以外いないこの部屋から返答が返ってくることは当然無く、ただただ静寂のみが広がる。シュターリンは酒片手に窓際まで歩み寄った。いつの日かとは違い、窓の外からは街の様子がはっきり見えた。…街は酷く荒廃しておりこれが城下町とは言えない惨状であった。その様子を見たシュターリンは拳を強く握りしめる。早くしなければ。その思いがシュターリンを一層締め付ける。…この地獄のような日々はいつから始まったんだったか、とシュターリンは昔を思い出し始めた。
遥か数百、あるいは数千年前、我々の祖先はかつてこの宇宙で最大版図を誇るレミレランド帝国であった。レミレランド帝国の戦闘艦はどれほど高度な文明の星間国家であっても撃破できず、レミレランドがこの宇宙最強として名を馳せていた。その為、レミレランドの周辺に位置している星国家はレミレランドに保護してもらう為、レミレランドとレミレランド有利の連邦契約を結んだ。それが、レミレランド星間連邦の誕生である。10を超える星国家が集ったこの連邦国家では、最強であるレミレランド帝国の発言は影響力が大きく全ての事柄はレミレランドの一声で解決できたため、星間連邦の安寧に大きく寄与していた。だが、それは逆に各星国家の意向を無駄にしているのと同義であった。さらに最強は永遠に最強ではなかった。そこから数百年後、別の星間国家が開発した戦闘艦はレミレランドのそれでは全く歯がたたなかった。驕る者は久しからずと言うがまさにその通り、数百年間宇宙の覇者であったレミレランド帝国。だが、最強の座から引き摺り下ろされた時、最早その国に威信はなかった。連邦加盟国は威信のなくなった国について行く義理はない。そう吐き捨て、約50年ほど前、突如としてレミレランド星間連邦の一角をなしていたフランドル星間帝国がレミレランドとの連邦契約を切り、独自陣営として独立すると発表したのだ。それに感化された諸国は次々にフランドルのように独立を宣言し、連邦から去ろうとしていた。そのような暴挙に連邦は了解サインを出す筈がなかった。連邦は勝手に独立を宣言した星国家に対し、速やかに連邦に謝罪し再び連邦に戻るよう呼びかけたが、その呼びかけ自体力を失った帝国では無駄であった。独立と言う悲願を果たす為、彼らは一斉に連邦の本拠地、レミレランドに侵攻してきた。そこから、戦争が終結する、実に48年間もの間、レミレランドでは本土決戦が続けられてきた。結果として言えばかろうじて奴らの侵攻を跳ね返すことができた。だが、本土決戦となってしまった為、都市は荒廃し、作物が育たなくなってしまった。加えてフランドルが御礼品といってレミレランドに撃ち込んだ「楔」がレミレランドを一層苦しめた。それは、「核変質装置」である。この場合の核とは、天体の中心核の事である。フランドルが撃ち込み、起動したこの「核変質装置」は、惑星レミレランドの核である金属核を融解させ、装置内部にある別の物質と置き換える事でその星を徐々に惑星から恒星へと変えていってしまう、恐ろしい装置なのである。これを起動されたレミレランドは最早どうすることもできず、移住先の選定に着手した。レミレランドに似た環境を探すため、移住先の決定は地獄のような日々であった。惑星へと変貌を遂げようとする母星、レミレランドは日に日に気温が上がっていった。このままでは、あと数年でこの星は灼熱地獄となり、人類が生きることは不可能であることは火を見るより明らかだった。そんな時に見つけたディ・イエデはレミレランドと類似した点を多く持っていた。…これなら、ここなら民を移住させ再び安寧を築くことができる。そう思っていたのだが、想像以上に攻略は苦戦している。今配属されている現場指揮官は貴族連盟からの推薦だが、本当に責務を果たせるのだろうか。シュターリンはイライラとぶつけようのない怒りと焦りを感じ、それを紛らわせるかのように勢いよく酒を飲み込んだ。