第三章 邂逅

私は、王宮内の一室である人と机を挟んで2人で頭を抱えていた。その人物とは、グスタフ上級大将。私からの命令をもとに防衛軍の指揮を執る、防衛軍のトップである。
「…南半球方面の防衛線はほぼ破られた、という事ね?」
「…はい、その通りです。敵まだ上陸こそしてきませんが、南半球のほとんどの場所では組織的な反攻どころか、攻撃をすることすら難しくなっています。」
その報告を改めて聞いて、私は小さくそう、と呟いて地図に目線を落とした。我々の星の首都が位置するのは北半球だが、南半球とは地続きになっており、もし揚陸されれば陸上と空から攻撃が加えられ、今はかろうじて防衛に成功している首都やその他の都市もいつか陥落するだろう…しかし敵に対して有効打がない現状では、南半球がやられていくのをただただ指を咥えて見ている他なかった。
「しかし、某は甚だ不思議でなりませぬ。」
そう、グスタフが言った。何の脈絡もなく不思議だと言われたので、私は何のことかわからず、
「何が不思議なのかしら?」
と問うた。すると、
「あれほどの圧倒的な武力を持っていながら、まだどこにも揚陸してこない点です。南半球も組織的な反攻はできなくなっているのですから、揚陸してきてもいいはずですし、我々の首都やその他都市につきましても、強襲揚陸でもされればそれこそ我々はなす術なく降伏する他ないでしょう…なのにそれを一向にやってこないのが不思議だと申し上げたのです…。」
とグスタフは言った。確かにそうだ。私たちの星なんて強襲揚陸されれば一撃でやられてしまうのに、ちまちまとご丁寧に1日一回、悪魔による攻撃があるだけでそれ以外は何もしてこない。何か裏があるのだろうか…と思いつつ、
「まぁそんな事を考えていても仕方がないわ。とりあえず今後の防衛計画を練りましょう。」
とグスタフに提案した。グスタフもそれに同意し、地図や残存する防衛砲台の場所を考えながら今後どのように防衛していくかを話し合いを始めた。
そんな、時だった。