「じゃあ新種認定を始めるわね。ケースケ、認識票を出してちょうだい」
俺の杏仁豆腐をご満悦で食べ終わったシャーリーは、紅茶でしっかり口直しをしてから、カフェからギルド内の一室に場所を移して早速お仕事を開始した。
俺は言われた通りシャーリーに認識票を手渡す。
討伐記録はここに記録されているので、今からそれを確認してもらうのだ。
シャーリーは薄い板のようなものを取り出すと、そこに俺の認識票を差し込んでなにやらボタンを押したりつまみを回したりして調整を始める。
「ケースケ様、あれは何をやってるんですか?」
それを見たアイセルが、興味津々と言った顔で聞いてきた。
「シャーリーが弄ってる薄い板みたいなのがあるだろ? あれは『チェッカー』って言って、認識票の中を見れる特殊なアイテム、古代文明の残した魔道具の一つなんだよ。あれでキング・オー・ランタンの姿を実際に確認して、新種かどうかをチェックするんだ」
「そうやって新種認定するんですね。初めて知りました」
「魔獣の新種認定はベテラン冒険者でも経験することはまずないからな。アイセルもサクラも、せっかくの機会だからよく見ておくといいぞ」
「勉強になります!」
「はーい」
と、偉そうに先輩風を吹かしている俺も、実はこれが2回目なんだけどな。
「シャーリーは元々こういった古代文明の専門家なんだ。それが極まって、最終的には『魔法』を使えるようになっちゃったわけ」
「まさに才女ですね」
「別にそんなに凄いもんじゃないわよ? 単に実家が冒険者ギルドの本部だったから、身近に古い文献とか道具がいっぱいあって自然とそうなっただけ。環境が良かったのと慣れね――はいっと設定は終わり。起動するわね。どれどれ……」
シャーリーがチェッカーを起動すると、すぐにチェッカーの上に30センチほどのキング・オー・ランタンの姿が浮かび上がった。
「わわっ、なんか出ましたよ!?」
「蜃気楼みたいで綺麗ね!」
アイセルとサクラが興奮を隠せない様子で、食い入るようにそれを見つめる。
「ふんふん、コアとなるジャック・オー・ランタンを中心に、多数のジャック・オー・ランタンが集まって、大きな一つのキング・オー・ランタンになったと。事前にあがってきてた報告書通りね。ゴースト系を一通り調べたけど、過去に類似例はなかったから新種で間違いないわ」
「よしっ」
「あの報告書ってケースケが書いたんでしょ? 詳細で具体的で分かりやすくて、読んだ瞬間にもしかしてケースケかもって思ったんだから」
「勇者パーティ時代は書類はほとんど全部俺が書いてたからな、それこそ慣れだよ慣れ」
「謙遜しないで素直に褒められてなさいな。そういうわけでおめでとう、魔獣リストに発見者として名前が残るわよ」
「やりましたね!」
「やったぁ!」
「発見者はケースケでいいのかしら?」
「いやアイセルで頼む、アイセル=バーガーだ。パーティ『アルケイン』は未来の大勇者アイセルのためのパーティだから。アイセルの名を歴史に残したいんだ」
「え、さすがにそれは……それに止めを刺したのはサクラですし」
「私はどーでもいいわよ? 冒険者をやってるってことだけで今は幸せだもん」
「というわけだ。発見者はアイセルで頼む」
「了解。後は書類を埋めて提出するだけだから、実質これで終了ね、お疲れ様」
「仕事らしいことをしてたのは実質シャーリーだけだけどな。お疲れシャーリー」
「ありがとうケースケ」
こうしてキング・オー・ランタンは発見者アイセルの名前と共に、魔獣辞典に新種として登録されることになったのだった。
俺の杏仁豆腐をご満悦で食べ終わったシャーリーは、紅茶でしっかり口直しをしてから、カフェからギルド内の一室に場所を移して早速お仕事を開始した。
俺は言われた通りシャーリーに認識票を手渡す。
討伐記録はここに記録されているので、今からそれを確認してもらうのだ。
シャーリーは薄い板のようなものを取り出すと、そこに俺の認識票を差し込んでなにやらボタンを押したりつまみを回したりして調整を始める。
「ケースケ様、あれは何をやってるんですか?」
それを見たアイセルが、興味津々と言った顔で聞いてきた。
「シャーリーが弄ってる薄い板みたいなのがあるだろ? あれは『チェッカー』って言って、認識票の中を見れる特殊なアイテム、古代文明の残した魔道具の一つなんだよ。あれでキング・オー・ランタンの姿を実際に確認して、新種かどうかをチェックするんだ」
「そうやって新種認定するんですね。初めて知りました」
「魔獣の新種認定はベテラン冒険者でも経験することはまずないからな。アイセルもサクラも、せっかくの機会だからよく見ておくといいぞ」
「勉強になります!」
「はーい」
と、偉そうに先輩風を吹かしている俺も、実はこれが2回目なんだけどな。
「シャーリーは元々こういった古代文明の専門家なんだ。それが極まって、最終的には『魔法』を使えるようになっちゃったわけ」
「まさに才女ですね」
「別にそんなに凄いもんじゃないわよ? 単に実家が冒険者ギルドの本部だったから、身近に古い文献とか道具がいっぱいあって自然とそうなっただけ。環境が良かったのと慣れね――はいっと設定は終わり。起動するわね。どれどれ……」
シャーリーがチェッカーを起動すると、すぐにチェッカーの上に30センチほどのキング・オー・ランタンの姿が浮かび上がった。
「わわっ、なんか出ましたよ!?」
「蜃気楼みたいで綺麗ね!」
アイセルとサクラが興奮を隠せない様子で、食い入るようにそれを見つめる。
「ふんふん、コアとなるジャック・オー・ランタンを中心に、多数のジャック・オー・ランタンが集まって、大きな一つのキング・オー・ランタンになったと。事前にあがってきてた報告書通りね。ゴースト系を一通り調べたけど、過去に類似例はなかったから新種で間違いないわ」
「よしっ」
「あの報告書ってケースケが書いたんでしょ? 詳細で具体的で分かりやすくて、読んだ瞬間にもしかしてケースケかもって思ったんだから」
「勇者パーティ時代は書類はほとんど全部俺が書いてたからな、それこそ慣れだよ慣れ」
「謙遜しないで素直に褒められてなさいな。そういうわけでおめでとう、魔獣リストに発見者として名前が残るわよ」
「やりましたね!」
「やったぁ!」
「発見者はケースケでいいのかしら?」
「いやアイセルで頼む、アイセル=バーガーだ。パーティ『アルケイン』は未来の大勇者アイセルのためのパーティだから。アイセルの名を歴史に残したいんだ」
「え、さすがにそれは……それに止めを刺したのはサクラですし」
「私はどーでもいいわよ? 冒険者をやってるってことだけで今は幸せだもん」
「というわけだ。発見者はアイセルで頼む」
「了解。後は書類を埋めて提出するだけだから、実質これで終了ね、お疲れ様」
「仕事らしいことをしてたのは実質シャーリーだけだけどな。お疲れシャーリー」
「ありがとうケースケ」
こうしてキング・オー・ランタンは発見者アイセルの名前と共に、魔獣辞典に新種として登録されることになったのだった。