女の子2人にとっては精神的に大変苦しいクエストを、しかし無事に完了した俺たちパーティ『アルケイン』は。
精神的苦痛からの回復のために数日の完全オフを設けた後、次なる特別指名クエストを受けに冒険者ギルドに向かったのだが――、
「今回の討伐はジャック・オー・ランタンだ」
「……!」
代表して話を聞いてきた俺の一言を聞いて、アイセルの顔に緊張が走った。
「ジャック・オー・ランタンってことは、つまりゴースト系魔獣ってことですよね?」
「おおむねそうだな。でも悪意に支配されたゴースト系というよりは、どちらかというとイタズラ好きな精霊なのかな?」
「あ、そうなんですね。勉強になります」
「ゴーストと精霊はどっちも似たような存在だけど、成り立ちがちょっとだけ違うんだよ」
「ケースケ様の知識はさすがですね」
「まぁその辺の微に入り細に入るところまで言いだすと学者の研究レベルになってくるから、とりあえずはアイセルの言うとおりゴーストでひとくくりにしておこう」
俺は軽く話をまとめたんだけど、
「ぶっちゃけ、どっちでもいいもんね!」
サクラがあっけらかんとそんなことを言ってきやがった。
「サクラ、お前は口を開いたと思ったら、本当にズケズケと正直に思ったことを言うな……」
「ありのままの正直者、それが私!」
「はいはいそうだな。まぁいいや、とりあえずはゴーストとして話を進めるとしてだ。そういうわけで次の特別指名クエストはジャック・オー・ランタンの討伐になった」
「でもジャック・オー・ランタンって、夜になると旅人を迷わせて旅の邪魔をするだけのゴーストですよね? 大きなカボチャをくりぬいてできた顔だけが浮いているんです」
「おっ、詳しいな。アイセルの言うとおり、本来ジャック・オー・ランタンに出会っても大きな被害は出ない。せいぜい道に迷わされて余計な手間・暇・時間がかかってイライラする――程度のイタズラをされるくらいなんだけど、今回は何人か死人が出てるらしい」
「ということは、普通とは違った何かイレギュラーなことが起こってるわけですね?」
「その可能性が極めて高いな。冒険者ギルドからの依頼も、可能なら何が起こっているのかを調べて欲しいってことだったし」
「まずは討伐が第一目標。プラス第二目標として可能な限り調査というわけですね」
「冒険者ギルドからはなるべく早く討伐に向かって欲しいって言われたから、準備ができ次第出発しよう」
「了解です。ところでケースケ様。わたし、実体のないゴーストと戦うのは初めてなんですけど、ケースケ様は戦ったことがあるんでしょうか?」
「勇者パーティにいた時に何度か戦ったことがあるぞ。もちろん俺は後ろで見ているだけだったんだけど」
「あはは……」
俺の定番自虐ネタにアイセルが苦笑いする。
「ねぇねぇケイスケ。ゴーストってことはつまりお化けなんでしょ? そんなに強いの?」
話の切りのいいところを待っていたのか、サクラが尋ねてきた。
どうやらサクラはアイセル程はゴーストについて詳しくないみたいだな。
「そうだな、いい機会だからサクラにもゴーストについてちゃんと説明しておこう――」
「簡単にでいいわよ。でもポイントを抑えて分かりやすくね!」
俺の言葉尻に被せるようにしてサクラが言った。
まぁね、サクラは最近の若い子だからね。
ちゃちゃっと結論から聞きたいよね。
10歳以上も年の離れた俺の長話なんて聞きたくないよな。
ゴーストの詳しい話は、夜のレッスンの時にでもやればいいか。
精神的苦痛からの回復のために数日の完全オフを設けた後、次なる特別指名クエストを受けに冒険者ギルドに向かったのだが――、
「今回の討伐はジャック・オー・ランタンだ」
「……!」
代表して話を聞いてきた俺の一言を聞いて、アイセルの顔に緊張が走った。
「ジャック・オー・ランタンってことは、つまりゴースト系魔獣ってことですよね?」
「おおむねそうだな。でも悪意に支配されたゴースト系というよりは、どちらかというとイタズラ好きな精霊なのかな?」
「あ、そうなんですね。勉強になります」
「ゴーストと精霊はどっちも似たような存在だけど、成り立ちがちょっとだけ違うんだよ」
「ケースケ様の知識はさすがですね」
「まぁその辺の微に入り細に入るところまで言いだすと学者の研究レベルになってくるから、とりあえずはアイセルの言うとおりゴーストでひとくくりにしておこう」
俺は軽く話をまとめたんだけど、
「ぶっちゃけ、どっちでもいいもんね!」
サクラがあっけらかんとそんなことを言ってきやがった。
「サクラ、お前は口を開いたと思ったら、本当にズケズケと正直に思ったことを言うな……」
「ありのままの正直者、それが私!」
「はいはいそうだな。まぁいいや、とりあえずはゴーストとして話を進めるとしてだ。そういうわけで次の特別指名クエストはジャック・オー・ランタンの討伐になった」
「でもジャック・オー・ランタンって、夜になると旅人を迷わせて旅の邪魔をするだけのゴーストですよね? 大きなカボチャをくりぬいてできた顔だけが浮いているんです」
「おっ、詳しいな。アイセルの言うとおり、本来ジャック・オー・ランタンに出会っても大きな被害は出ない。せいぜい道に迷わされて余計な手間・暇・時間がかかってイライラする――程度のイタズラをされるくらいなんだけど、今回は何人か死人が出てるらしい」
「ということは、普通とは違った何かイレギュラーなことが起こってるわけですね?」
「その可能性が極めて高いな。冒険者ギルドからの依頼も、可能なら何が起こっているのかを調べて欲しいってことだったし」
「まずは討伐が第一目標。プラス第二目標として可能な限り調査というわけですね」
「冒険者ギルドからはなるべく早く討伐に向かって欲しいって言われたから、準備ができ次第出発しよう」
「了解です。ところでケースケ様。わたし、実体のないゴーストと戦うのは初めてなんですけど、ケースケ様は戦ったことがあるんでしょうか?」
「勇者パーティにいた時に何度か戦ったことがあるぞ。もちろん俺は後ろで見ているだけだったんだけど」
「あはは……」
俺の定番自虐ネタにアイセルが苦笑いする。
「ねぇねぇケイスケ。ゴーストってことはつまりお化けなんでしょ? そんなに強いの?」
話の切りのいいところを待っていたのか、サクラが尋ねてきた。
どうやらサクラはアイセル程はゴーストについて詳しくないみたいだな。
「そうだな、いい機会だからサクラにもゴーストについてちゃんと説明しておこう――」
「簡単にでいいわよ。でもポイントを抑えて分かりやすくね!」
俺の言葉尻に被せるようにしてサクラが言った。
まぁね、サクラは最近の若い子だからね。
ちゃちゃっと結論から聞きたいよね。
10歳以上も年の離れた俺の長話なんて聞きたくないよな。
ゴーストの詳しい話は、夜のレッスンの時にでもやればいいか。