「あー、あれは脛のあたりが折れたな……」
「ケースケ様、なにを落ち着いてるんですか!? 骨折ですよ!? 大変です、すぐに助けにいってきます!」
一緒に戦いを見守っていたアイセルが、血相を変えて飛び出そうとしたけど、
「いや行かなくていい。あれくらいの怪我はバーサーカーなら全然大したことはないから」
俺はそれを制止した。
「で、ですが足を骨折していては戦うどころか立てません――って、ええっ!?」
アイセルが驚いた声をあげた。
というのも、
「いたたたたた……」
サクラが何事もなかったように立ちあがったからだ。
折れていたはずの足で普通に立って、平然とした顔で巨大なバトルアックスを構えなおす。
「バーサーカーは全職業で断トツ一番の超強力な『自己再生』のスキルを持ってるんだ。だから骨折くらいなら10秒もあれば完治する」
「ほんとすごいんですね、バーサーカーって」
「すごいんだよ。だから暴走されるとシャレにならないくらいに厄介なんだよな」
なにせ暴走したバーサーカーは敵味方構わず襲い始めるのだ。
「……ですね、わかります」
疲れ知らずで怪我もすぐに治ってしまう。
しかも怪力持ちだから、たいがいが当たれば即死級の巨大武器を振りまわすときたもんだ。
そんなのが見境なく襲ってきたら、本気で命のやり取りをするしかないわけで。
だからバーサーカーはなかなか育たない。
サクラのように途中でパーティを組む相手がいなくなってソロになってしまい、力を使いこなせるようになる前に行き詰まってしまうのだ。
そうこうしている間に戦闘が再開した。
今度は油断らしい油断もせずに奮闘するサクラをアイセルと見守っていると、イービル・イノシシはどんどんと数を減らしていった。
そして最後は数匹となって散り散りに逃げ出そうとしたところを、
「逃がしません」
逃げる方向を予測して回り込んでいたアイセルが次々に仕留めて、クエストは無事に終了となった。
「終わったわ!」
「お疲れさん。さすがバーサーカーだな、レベル8でも『狂乱』さえしなければ強いもんだ」
「ふふん、そうでしょうともよ! さすが私!」
勝利の余韻が残っているからか、俺に褒められて完全に調子に乗ったサクラだったけど、
「ですが、よそ見をしてまともに体当たりを喰らってしまったのはいただけませんね」
「あ、うん、それは反省してる、すごく」
アイセルにさっきの失態を指摘されると、途端に神妙な顔になった。
よしよし、アホに見えてちゃんと悪いところは反省できるタイプみたいだな。
アイセルも問題を指摘こそすれ、怒るつもりは全くないみたいだった。
「でもそれ以外は良かったですね。正面から突撃したのはやや微妙かもですが、一対多数の立ち回りもしっかりできてましたし、総じてよくできてましたよ。この調子で次も頑張ってね」
「うん、私がんばる! どうよケイスケ、前衛として有名なアイセルさんにも褒められたんだからね!」
「良かったな、次も頑張れよ」
「アイセルさん、他に気になったところとか、こうしたら良くなるとか気付いたことがあったら教えてください!」
「そうですね、避ける時にほとんど右に動いてたのが少し気になったかも。多分、癖になってるのかなって」
「ぜ、全然気づきませんでした……!」
「じゃあ後で少し手合わせしてみましょうか。癖を矯正するなら早い方がいいですし」
「いいんですか!? ぜひお願いします!」
「そういうことならギルドへのクエスト完了報告は俺がやっとくから、街に戻ったらアイセルは先に家に帰って庭ででもサクラと手合わせしてやってくれ」
「申し訳ありませんがよろしくお願いします」
アイセルが申し訳なさそうに頭を下げて、
「頼んだわよケイスケ!」
サクラは元気いっぱいで言ってきた。
「一応言っとくけど、俺がいない場所でバーサーカーの力は使うなよ? 暴走するからな」
「分かってるし! それでアイセルさん他には――」
サクラは俺にサラッと答えると、熱心にアイセルに戦闘の感想を聞きはじめた。
やっぱり前衛職同士は話があうよな。
避ける方向が偏ってるとか、そういう細かい戦闘のテクニックは俺はからっきしだし。
俺は少しだけ寂しい気持ちになりながらも、サクラの今後に大いに期待のできる初クエストに、ほっこり満足したのだった。
【ケースケ(バッファー) レベル120】
・スキル
S級スキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』
【アイセル(魔法戦士) レベル36→38】
(注・アイセルの2レベル上昇は今回のクエストではなく、前回レベル36になった後サクラが加入するまでの間に上昇した分です)
・スキル
『光学迷彩』レベル28
『気配遮断』レベル14
『索敵』レベル21
『気配察知』レベル35
『追跡』レベル1
『暗視』レベル14
『鍵開け』レベル1
『自動回復』レベル14
『気絶回帰』レベル14
『状態異常耐性』レベル14
『徹夜耐性』レベル14
『耐熱』レベル14
『耐寒』レベル14
『平常心』レベル21
『疲労軽減』レベル35
『筋力強化』レベル35
『体力強化』レベル35
『武器強化』レベル35
『防具強化』レベル35
『居合』レベル35
『縮地』レベル35
『連撃』レベル35
『乱打』レベル35
『会心の一撃』レベル35
『武器投擲』レベル35
『連撃乱舞』レベル14
『岩斬り』レベル14
『真剣白刃取り』レベル35
『打撃格闘』レベル35
『当身』レベル35
『関節技』レベル35
『受け流し』レベル35
『防御障壁』レベル14
『クイックステップ』レベル35
『空中ステップ』レベル35
『視線誘導』レベル28
『威圧』レベル28
『集中』レベル35
『見切り』レベル35
『直感』レベル35
『心眼』レベル35
『弱点看破』レベル14
『武器破壊』レベル14
『ツボ押し』レベル35
『質量のある残像』レベル14
『火事場の馬鹿力』レベル14
【サクラ(バーサーカー) レベル8→12】
・スキル
『狂乱』レベル--
『自己再生』レベル--
『疲労軽減』レベル--
『筋力強化』レベル--
『体力強化』レベル--
『会心の一撃』レベル--
(注:バーサーカーの戦闘スキルは全て怒りの精霊『フラストレ』の力を借りるため、通常のスキルレベルとは完全に切り離されています)
「ケースケ様、なにを落ち着いてるんですか!? 骨折ですよ!? 大変です、すぐに助けにいってきます!」
一緒に戦いを見守っていたアイセルが、血相を変えて飛び出そうとしたけど、
「いや行かなくていい。あれくらいの怪我はバーサーカーなら全然大したことはないから」
俺はそれを制止した。
「で、ですが足を骨折していては戦うどころか立てません――って、ええっ!?」
アイセルが驚いた声をあげた。
というのも、
「いたたたたた……」
サクラが何事もなかったように立ちあがったからだ。
折れていたはずの足で普通に立って、平然とした顔で巨大なバトルアックスを構えなおす。
「バーサーカーは全職業で断トツ一番の超強力な『自己再生』のスキルを持ってるんだ。だから骨折くらいなら10秒もあれば完治する」
「ほんとすごいんですね、バーサーカーって」
「すごいんだよ。だから暴走されるとシャレにならないくらいに厄介なんだよな」
なにせ暴走したバーサーカーは敵味方構わず襲い始めるのだ。
「……ですね、わかります」
疲れ知らずで怪我もすぐに治ってしまう。
しかも怪力持ちだから、たいがいが当たれば即死級の巨大武器を振りまわすときたもんだ。
そんなのが見境なく襲ってきたら、本気で命のやり取りをするしかないわけで。
だからバーサーカーはなかなか育たない。
サクラのように途中でパーティを組む相手がいなくなってソロになってしまい、力を使いこなせるようになる前に行き詰まってしまうのだ。
そうこうしている間に戦闘が再開した。
今度は油断らしい油断もせずに奮闘するサクラをアイセルと見守っていると、イービル・イノシシはどんどんと数を減らしていった。
そして最後は数匹となって散り散りに逃げ出そうとしたところを、
「逃がしません」
逃げる方向を予測して回り込んでいたアイセルが次々に仕留めて、クエストは無事に終了となった。
「終わったわ!」
「お疲れさん。さすがバーサーカーだな、レベル8でも『狂乱』さえしなければ強いもんだ」
「ふふん、そうでしょうともよ! さすが私!」
勝利の余韻が残っているからか、俺に褒められて完全に調子に乗ったサクラだったけど、
「ですが、よそ見をしてまともに体当たりを喰らってしまったのはいただけませんね」
「あ、うん、それは反省してる、すごく」
アイセルにさっきの失態を指摘されると、途端に神妙な顔になった。
よしよし、アホに見えてちゃんと悪いところは反省できるタイプみたいだな。
アイセルも問題を指摘こそすれ、怒るつもりは全くないみたいだった。
「でもそれ以外は良かったですね。正面から突撃したのはやや微妙かもですが、一対多数の立ち回りもしっかりできてましたし、総じてよくできてましたよ。この調子で次も頑張ってね」
「うん、私がんばる! どうよケイスケ、前衛として有名なアイセルさんにも褒められたんだからね!」
「良かったな、次も頑張れよ」
「アイセルさん、他に気になったところとか、こうしたら良くなるとか気付いたことがあったら教えてください!」
「そうですね、避ける時にほとんど右に動いてたのが少し気になったかも。多分、癖になってるのかなって」
「ぜ、全然気づきませんでした……!」
「じゃあ後で少し手合わせしてみましょうか。癖を矯正するなら早い方がいいですし」
「いいんですか!? ぜひお願いします!」
「そういうことならギルドへのクエスト完了報告は俺がやっとくから、街に戻ったらアイセルは先に家に帰って庭ででもサクラと手合わせしてやってくれ」
「申し訳ありませんがよろしくお願いします」
アイセルが申し訳なさそうに頭を下げて、
「頼んだわよケイスケ!」
サクラは元気いっぱいで言ってきた。
「一応言っとくけど、俺がいない場所でバーサーカーの力は使うなよ? 暴走するからな」
「分かってるし! それでアイセルさん他には――」
サクラは俺にサラッと答えると、熱心にアイセルに戦闘の感想を聞きはじめた。
やっぱり前衛職同士は話があうよな。
避ける方向が偏ってるとか、そういう細かい戦闘のテクニックは俺はからっきしだし。
俺は少しだけ寂しい気持ちになりながらも、サクラの今後に大いに期待のできる初クエストに、ほっこり満足したのだった。
【ケースケ(バッファー) レベル120】
・スキル
S級スキル『天使の加護――エンジェリック・レイヤー』
【アイセル(魔法戦士) レベル36→38】
(注・アイセルの2レベル上昇は今回のクエストではなく、前回レベル36になった後サクラが加入するまでの間に上昇した分です)
・スキル
『光学迷彩』レベル28
『気配遮断』レベル14
『索敵』レベル21
『気配察知』レベル35
『追跡』レベル1
『暗視』レベル14
『鍵開け』レベル1
『自動回復』レベル14
『気絶回帰』レベル14
『状態異常耐性』レベル14
『徹夜耐性』レベル14
『耐熱』レベル14
『耐寒』レベル14
『平常心』レベル21
『疲労軽減』レベル35
『筋力強化』レベル35
『体力強化』レベル35
『武器強化』レベル35
『防具強化』レベル35
『居合』レベル35
『縮地』レベル35
『連撃』レベル35
『乱打』レベル35
『会心の一撃』レベル35
『武器投擲』レベル35
『連撃乱舞』レベル14
『岩斬り』レベル14
『真剣白刃取り』レベル35
『打撃格闘』レベル35
『当身』レベル35
『関節技』レベル35
『受け流し』レベル35
『防御障壁』レベル14
『クイックステップ』レベル35
『空中ステップ』レベル35
『視線誘導』レベル28
『威圧』レベル28
『集中』レベル35
『見切り』レベル35
『直感』レベル35
『心眼』レベル35
『弱点看破』レベル14
『武器破壊』レベル14
『ツボ押し』レベル35
『質量のある残像』レベル14
『火事場の馬鹿力』レベル14
【サクラ(バーサーカー) レベル8→12】
・スキル
『狂乱』レベル--
『自己再生』レベル--
『疲労軽減』レベル--
『筋力強化』レベル--
『体力強化』レベル--
『会心の一撃』レベル--
(注:バーサーカーの戦闘スキルは全て怒りの精霊『フラストレ』の力を借りるため、通常のスキルレベルとは完全に切り離されています)