翌日。
「ありがとうケイスケ! 心の友よ!」
冒険者ギルドでパーティメンバーを探して当てもなくさまよっていたサクラに、条件を呑めばパーティに入っていいと伝えた途端、サクラは俺に飛びついてきた。
「感謝なら俺じゃなくて、サクラを強く推薦してくれたアイセルに言ってくれ。一応言っておくと俺は最初は反対だったんだ」
「そうだったのね! アイセルさんありがとう! この恩は絶対に忘れないから!」
「いえいえ、これから3人で一緒に頑張っていきましょうね」
「うん!」
二人は本当の姉妹のように身体を寄せ合って笑顔で笑い合った。
ま、アイセルの言う通り悪い子じゃなさそうだし、アイセルとも気が合うみたいだし。
思ったよりは悪くない決断だったのかな?
「それで1つだけこれだけは守って欲しいって条件があるんだけどさ」
「な、なによ、そんなに改まった態度で……」
「俺を裏切らないでくれ」
「ケイスケに絶対服従ってこと? ケイスケに脱げって言われたら、人込みでもどこでも脱ぐみたいな?」
「なに言ってんだお前? 頭大丈夫か?」
俺が思わず素で返してしまうと、
「はわっ! 今、ケースケ様が素で返しましたよ!? ちょっと子供っぽい感じが、いつもの大人っぽいアンニュイな感じと違ってすごく胸キュンでしたよ!? いいなぁ、素のケースケ様を見せてもらっていいなぁ……」
なぜかアイセルが心底羨ましそうに言ってきた。
俺、もしかしてアイセルに距離を感じさせちゃってるのかな?
そんなつもりはないんだけど……。
まぁそれは今は置いといてだ。
「そうじゃなくてな。絶対服従とかそんなんじゃなくて、もし意見があればいくらでも言ってくれて構わない」
「そうなの?」
「パーティの方針は基本的には話し合いで決めるから。俺が言いたいのは、パーティのメンバーの信頼を裏切ることはしないでくれってことだ。でもサクラが裏切らない限り、俺もサクラのことを絶対に裏切らない。絶対にだ、約束する」
俺の真剣な気配を感じ取ったのか、
「……わかったわ、約束する。絶対にケイスケやアイセルさんを裏切らない」
サクラは茶化すこともなく神妙な顔で頷いてくれた。
「ならいい」
「えっと、それだけ?」
「1つだけって言っただろ、それだけだよ。ああそうだ、ついでにずっと気になってたことを聞いてもいいか?」
「なに? 恩人のケイスケの言うことならスリーサイズでも初恋の人でも何でも答えるわよ? 私ってば義理堅いタイプだから」
「別にサクラの突っ込んだプライベートに興味はないよ」
「だよね、ケイスケにはアイセルさんがいるもんね」
「ふふっ、サクラはとても良いことを言いますね」
アイセルがにっこりと笑う。
「まさにそれなんだけどさ、俺の名前を呼ぶ時の発音が微妙に違う気がする」
「ああ、それはケイスケたちが間違ってるのよ」
「なんでだよ、俺の名前だぞ!?」
「ケイスケの名前の由来の『ケイスケ=ホンダ』は元々、蹴究っていう足を使った格闘技を使う古い神様の名前なのよ。庶民は気にしないかもだけど、やっぱり自分で言う時は崩れた発音は気になるわ」
「そ、そうだったのか、今初めて知ったぞ……」
ケースケ=ホンダム、生まれて25年目にして初めて自分の名前の由来を知りました……。
「ケースケ様は、実は神様だったんですね……さすがです……」
そしてうっとりしながら、どこか的の外れた称賛を送ってくるアイセル。
「いや俺は人間だからな……?」
「ゴッドケースケ様、さすがすぎます……」
聞いちゃいなかった。
俺はアイセルはスルーすることにして、もう一つサクラに質問する。
「それともう1つ。なんで俺は呼び捨てなのにアイセルは『さん付け』なのかなって思ってさ」
「え? あーほんとだ、なんでだろ?」
「気付いてなかったんかい」
「うーん、そうね……しいて言うならケイスケは友達感覚で、アイセルさんは先輩みたいな?」
「ああそう……お前が俺をどう見てるかよくわかったよ。ちなみに俺は25才でパーティ『アルケイン』の最年長だ。一応リーダーも俺だからな、ちゃんと言うことを聞くんだぞ」
「パワーレベリングをしてもらうんだから文句なんて言わないわ。私は2人に本当に感謝してるんだから」
「おっと、そうそう言い忘れてた。その事なんだけどさ」
「どの事?」
「ケースケ様が神様なことですね!」
アイセルが元気よく口をはさんできた。
「いや違うから」
「そうですか……」
アイセルがショボーンと引っ込んだ。
「サクラのパワーレベリングはしない」
「ええっ、なんでよ!? レベル上げのために臨時でパーティに入れてくれるんでしょ!? 酷いよ、ケイスケの意地悪っ!」
俺のその言葉に、サクラが泣きそうな顔で抗議をしてきた。
「ありがとうケイスケ! 心の友よ!」
冒険者ギルドでパーティメンバーを探して当てもなくさまよっていたサクラに、条件を呑めばパーティに入っていいと伝えた途端、サクラは俺に飛びついてきた。
「感謝なら俺じゃなくて、サクラを強く推薦してくれたアイセルに言ってくれ。一応言っておくと俺は最初は反対だったんだ」
「そうだったのね! アイセルさんありがとう! この恩は絶対に忘れないから!」
「いえいえ、これから3人で一緒に頑張っていきましょうね」
「うん!」
二人は本当の姉妹のように身体を寄せ合って笑顔で笑い合った。
ま、アイセルの言う通り悪い子じゃなさそうだし、アイセルとも気が合うみたいだし。
思ったよりは悪くない決断だったのかな?
「それで1つだけこれだけは守って欲しいって条件があるんだけどさ」
「な、なによ、そんなに改まった態度で……」
「俺を裏切らないでくれ」
「ケイスケに絶対服従ってこと? ケイスケに脱げって言われたら、人込みでもどこでも脱ぐみたいな?」
「なに言ってんだお前? 頭大丈夫か?」
俺が思わず素で返してしまうと、
「はわっ! 今、ケースケ様が素で返しましたよ!? ちょっと子供っぽい感じが、いつもの大人っぽいアンニュイな感じと違ってすごく胸キュンでしたよ!? いいなぁ、素のケースケ様を見せてもらっていいなぁ……」
なぜかアイセルが心底羨ましそうに言ってきた。
俺、もしかしてアイセルに距離を感じさせちゃってるのかな?
そんなつもりはないんだけど……。
まぁそれは今は置いといてだ。
「そうじゃなくてな。絶対服従とかそんなんじゃなくて、もし意見があればいくらでも言ってくれて構わない」
「そうなの?」
「パーティの方針は基本的には話し合いで決めるから。俺が言いたいのは、パーティのメンバーの信頼を裏切ることはしないでくれってことだ。でもサクラが裏切らない限り、俺もサクラのことを絶対に裏切らない。絶対にだ、約束する」
俺の真剣な気配を感じ取ったのか、
「……わかったわ、約束する。絶対にケイスケやアイセルさんを裏切らない」
サクラは茶化すこともなく神妙な顔で頷いてくれた。
「ならいい」
「えっと、それだけ?」
「1つだけって言っただろ、それだけだよ。ああそうだ、ついでにずっと気になってたことを聞いてもいいか?」
「なに? 恩人のケイスケの言うことならスリーサイズでも初恋の人でも何でも答えるわよ? 私ってば義理堅いタイプだから」
「別にサクラの突っ込んだプライベートに興味はないよ」
「だよね、ケイスケにはアイセルさんがいるもんね」
「ふふっ、サクラはとても良いことを言いますね」
アイセルがにっこりと笑う。
「まさにそれなんだけどさ、俺の名前を呼ぶ時の発音が微妙に違う気がする」
「ああ、それはケイスケたちが間違ってるのよ」
「なんでだよ、俺の名前だぞ!?」
「ケイスケの名前の由来の『ケイスケ=ホンダ』は元々、蹴究っていう足を使った格闘技を使う古い神様の名前なのよ。庶民は気にしないかもだけど、やっぱり自分で言う時は崩れた発音は気になるわ」
「そ、そうだったのか、今初めて知ったぞ……」
ケースケ=ホンダム、生まれて25年目にして初めて自分の名前の由来を知りました……。
「ケースケ様は、実は神様だったんですね……さすがです……」
そしてうっとりしながら、どこか的の外れた称賛を送ってくるアイセル。
「いや俺は人間だからな……?」
「ゴッドケースケ様、さすがすぎます……」
聞いちゃいなかった。
俺はアイセルはスルーすることにして、もう一つサクラに質問する。
「それともう1つ。なんで俺は呼び捨てなのにアイセルは『さん付け』なのかなって思ってさ」
「え? あーほんとだ、なんでだろ?」
「気付いてなかったんかい」
「うーん、そうね……しいて言うならケイスケは友達感覚で、アイセルさんは先輩みたいな?」
「ああそう……お前が俺をどう見てるかよくわかったよ。ちなみに俺は25才でパーティ『アルケイン』の最年長だ。一応リーダーも俺だからな、ちゃんと言うことを聞くんだぞ」
「パワーレベリングをしてもらうんだから文句なんて言わないわ。私は2人に本当に感謝してるんだから」
「おっと、そうそう言い忘れてた。その事なんだけどさ」
「どの事?」
「ケースケ様が神様なことですね!」
アイセルが元気よく口をはさんできた。
「いや違うから」
「そうですか……」
アイセルがショボーンと引っ込んだ。
「サクラのパワーレベリングはしない」
「ええっ、なんでよ!? レベル上げのために臨時でパーティに入れてくれるんでしょ!? 酷いよ、ケイスケの意地悪っ!」
俺のその言葉に、サクラが泣きそうな顔で抗議をしてきた。