「まぁ幸いなことに、今は冒険者でありながら古代研究の専門家でもあるシャーリーがいるわけだろ? そういう意味では、パーティ『アルケイン』にはうってつけのクエストって言えるかもだ」
「逆に言えば、古代文明の専門家でかつ凄腕の冒険者であるシャーリーさんがいなければ絶対に無理なクエストですよね」
「うんうん。古代の知識がなければ、遺跡まで行ったところで調査しようがないもんね! 逆にただの研究者なら危険すぎて行かせられないんだし」
シャーリーのお父さん的には、シャーリーが俺たちとパーティを組んでるとは夢にも思ってなくて、だからこのクエストを最後の手段として自信満々で用意していたんだろう。
もちろん攻略可能性がほぼない分不相応なクエストをパーティに割り振るのは、ギルドマスターとしては本来あってはならない行動だ。
俺が告発でもすれば、ギルドマスターとしての地位も名誉も吹っ飛ぶのは間違いない。
でもシャーリーのお父さんの場合、娘のためならギルドマスターの地位や名誉なんか平気で捨てる気だろうからなぁ。
俺が告発しないであろうことも当然見抜いているだろうし。
シャーリーのお父さんが失脚すれば、当然シャーリーも大きな影響を受ける。
酸いも甘いも噛み締めてきた元Sランク冒険者にして、凄腕のギルドマスターだ。
俺の性格的にそれをよしとしない事を見抜くなんて、それこそ朝飯前だろう。
俺はその手のひらの上で転がされながら、しかし最後のクエストを完了して一泡吹かせてやることしかできないのだ。
なんてことを考えていると、
「はいはいケイスケしつもーん! なんでそんな辺鄙なところに神殿なんて見つかったの?」
サクラが元気よく手を挙げた。
「それについては詳しくは書いてなかったな。でもこんな山頂に普通は人は行かないだろうから、猟師がたまたま見かけたとかじゃないか?」
「たまたま~?」
その答えに納得できなかったのか、サクラが「はぁ?」って顔で俺を見つめる。
「稀によくある話なんだよ。がけ崩れとかがあって古代遺跡がひょっこり顔を出したのを、近隣住民や通行人が見つけるっていうのは」
「ふーん、そうなんだね。さすがケイスケ、どうでもいいことをホントよく知ってるよね!」
「お前は本っ当に言い方ってもんを考えろよな?」
「えっ、褒めてるのに!?」
「はいはい、サクラは根っからの正直者だよな。実のところ、俺はそんなサクラが嫌いじゃないぞ。これからもサクラは誰よりも素直でいてくれよな」
今日も今日とて行われるサクラとの変わらないやり取り。
でも最近ではそれが少し楽しくなっていることに俺は気付いていた。
なんだかんだでサクラが正直な性格をしているのは間違いなくて、アイセルやシャーリーなら黙っておくようなことも平気でずけずけと言ってくる。
でもそんな裏表がないサクラだからこそ、俺もあれこれ考えて話さなくていいから楽なんだよな。
サクラと話していると、リーダーとしての役目を考えなくてもいいっていうか。
なんていうか、すごく自然体でいられるんだ。
「逆に言えば、古代文明の専門家でかつ凄腕の冒険者であるシャーリーさんがいなければ絶対に無理なクエストですよね」
「うんうん。古代の知識がなければ、遺跡まで行ったところで調査しようがないもんね! 逆にただの研究者なら危険すぎて行かせられないんだし」
シャーリーのお父さん的には、シャーリーが俺たちとパーティを組んでるとは夢にも思ってなくて、だからこのクエストを最後の手段として自信満々で用意していたんだろう。
もちろん攻略可能性がほぼない分不相応なクエストをパーティに割り振るのは、ギルドマスターとしては本来あってはならない行動だ。
俺が告発でもすれば、ギルドマスターとしての地位も名誉も吹っ飛ぶのは間違いない。
でもシャーリーのお父さんの場合、娘のためならギルドマスターの地位や名誉なんか平気で捨てる気だろうからなぁ。
俺が告発しないであろうことも当然見抜いているだろうし。
シャーリーのお父さんが失脚すれば、当然シャーリーも大きな影響を受ける。
酸いも甘いも噛み締めてきた元Sランク冒険者にして、凄腕のギルドマスターだ。
俺の性格的にそれをよしとしない事を見抜くなんて、それこそ朝飯前だろう。
俺はその手のひらの上で転がされながら、しかし最後のクエストを完了して一泡吹かせてやることしかできないのだ。
なんてことを考えていると、
「はいはいケイスケしつもーん! なんでそんな辺鄙なところに神殿なんて見つかったの?」
サクラが元気よく手を挙げた。
「それについては詳しくは書いてなかったな。でもこんな山頂に普通は人は行かないだろうから、猟師がたまたま見かけたとかじゃないか?」
「たまたま~?」
その答えに納得できなかったのか、サクラが「はぁ?」って顔で俺を見つめる。
「稀によくある話なんだよ。がけ崩れとかがあって古代遺跡がひょっこり顔を出したのを、近隣住民や通行人が見つけるっていうのは」
「ふーん、そうなんだね。さすがケイスケ、どうでもいいことをホントよく知ってるよね!」
「お前は本っ当に言い方ってもんを考えろよな?」
「えっ、褒めてるのに!?」
「はいはい、サクラは根っからの正直者だよな。実のところ、俺はそんなサクラが嫌いじゃないぞ。これからもサクラは誰よりも素直でいてくれよな」
今日も今日とて行われるサクラとの変わらないやり取り。
でも最近ではそれが少し楽しくなっていることに俺は気付いていた。
なんだかんだでサクラが正直な性格をしているのは間違いなくて、アイセルやシャーリーなら黙っておくようなことも平気でずけずけと言ってくる。
でもそんな裏表がないサクラだからこそ、俺もあれこれ考えて話さなくていいから楽なんだよな。
サクラと話していると、リーダーとしての役目を考えなくてもいいっていうか。
なんていうか、すごく自然体でいられるんだ。